■ 中国大手不動産開発企業の経営危機 リーマンショック再来?
2021年9月25日
中国政府が物価抑制政策の一環として不動産投資に対する融資制限など開発業者への締め付けを強化した事で、大手不動産開発会社である「恒大」が経営破綻の危機に直面している。
23日の人民元建て利払いを済ませた事からひとまず安心感が出ているが、同社は128以上の銀行と121社を超えるノンバンク(不動産金融)から借金がある。有利子負債は今年3月末時点で6740億元(約11兆5千億円)、住宅購入者の前払い金なども加えた負債総額は約33兆5千億円相当に上る。
2008年のリーマンショックの負債額が64兆円であったのに対し、恒大社の33兆円も軽視できる金額ではないだけに中国政府が救済措置を取るかが気になるところだ。
同社の経営不振を招いた不動産投資に対する融資制限は日本でバブル崩壊の引き金にもなった政策と同じだ。バブル崩壊から現在までの日本経済を研究している中国指導部は同じ轍を踏まないと信じているが、IT企業への締め付けや、「共同富裕」政策を打ち出している中、一企業だけに救いの手を差し伸べるのか。同社の負債は中国国内総生産(GDP)の2%に相当し、破綻すれば第二のリーマンショックとなりかねない。
リーマンショック直前の古紙輸出価格も25円近くまで高騰していたが、リーマン社破綻直後の同年11月は4円まで価格が暴落している。
同社は今後の資金調達として、香港の本社ビルの売却や、傘下のEV自動車部門を売却する案を挙げている。しかしそのEV自動車部門である中国恒大新能源汽車集団も、23日のオフショア債8350万ドルの支払いが行われておらず、30日の猶予期間内に利払いが行われないとデフォルト(債務不履行)となる。 同社は迅速な資金注入がなければ資金繰りが破綻すると警告した。
中国当局は、中国恒大集団が破綻する可能性に備えるよう地方政府に指示しており、救済措置はとらないと思われる。同社が破綻した場合、建設中の不動産は地方政府や地元不動産企業に引き継がれ、投資者への引き渡しなど契約の履行を引き継ぐ事が検討されていると報じられている。