■ 中国寧波港で新型肺炎感染者が発生 港湾荷役が一時停止 影響に懸念
2021年 8月13日
8月11日、寧波港周山港桟橋のコンテナターミナル現場作業員1名が新型肺炎に感染している事が判明した。同港では定期的に現場作業員のPCR検査を実施しており、同作業員と同シフトで作業していた残りの9名は陰性であることが確認されている。
陽性が確認された男性は2度のワクチン接種を済ませており、現在14日間の隔離措置が取られている。男性の家族及び通勤路や職場での濃厚接触所は計245人に上ると見られており、市及び感染症対策関連部門は通勤路及び港湾周辺を管理地域に指定、全員のPCR検査を実施している。
これにより同港は11日から13日までコンテナ荷役が中断されることとなった。
中国東部・浙江省の寧波舟山港は、寧波港と舟山港が006年に合併し「寧波舟山港」となった。近年は、「一帯一路」の政策に重要な定期コンテナ航路の起点となって開発が進んでおり、寧波経済技術開発区、寧波保税区に近接し、海外への輸出の重要な港となっている。寧波周山港には270のコンテナターミナルがあり、中国発北米向け貨物の1/4を輸出しており世界第三位のコンテナ取扱量港でもある。
2020年の貨物取扱量は11億7,000万トンを超え、12年連続で世界第1位を維持し年間コンテナ取扱量は、2,872万TEUだった。 昨今の輸出需要の高まりによって、今年の1~5月のコンテナ取扱量はすでに1607万TEUに達し前年度比21.3%増となっている。 また直近の台風の影響により、ターミナルの混雑は深刻な状況となっており、今回の感染者発生による港湾作業の一時停止によるシーレーンへの影響が懸念される。
シーインテリジェンス社による世界22主要港のコンテナ混雑状況の調査報告書によると、ロサンゼルス港、ロングビーチ港、オークランド、ロッテルダム、アントワープ港、ホーチミン、上海、寧波港が非常に混雑しており、荷役に影響がでているという。
大手海運業者のマースク社によると、北米東海岸南東部では内陸トラック輸送が2週間以上遅延しており、空コンテナの返却にも遅れが生じている。さらに鉄道輸送網も混雑を極めており、アジアへのコンテナリターンにも大きな影響が出ているという。
米国の経済回復に伴う輸入増によって、8月の輸入量は237万TEUに達し、前年度比12.6%増した。さらにコンテナ平均滞在時間は35%増と長期化しており、単純に輸送能力が35%減少している状況となっている。 今後9月以降は秋需及びクリスマス商戦となる為さらなる輸入増と混雑が予想される。船社各社はアジア-北米航路に於いて150~500㌦/TEUのピークシーズンチャージを課す事を決定しており、海上輸送費がさらに上昇するとみられる。