■ 継続する海上コンテナ不足
2020年10月30日
世界的肺炎の流行が未だ収束を見せない中で、いち早く回復した中国経済と輸出の影響により海上コンテナが不足している。
海上運賃の値上がりと国慶節前に中国へ空コンテナを回送しようとする船会社の動きにより、連休明けも未だコンテナ不足の問題は継続している。
船会社は引き続き中国へコンテナを集める動きを見せており、特にレートの安い東南アジア向け古紙の船積みを敬遠している。また減便に加え日本-ベトナム間の貨物が増えた為に船腹スペースも確保しづらく、古紙問屋からの輸出増量要望や急な船積みオファーには対応が難しくなってきている。直近では11月初旬までの船積みでやや高めの古紙オファーも出ているが、古紙の発生減に加え海上輸送がままならないという物流上の問題から売り契約を躊躇してしまう。
このコンテナ不足問題は船会社の新型肺炎への対応策も大きな原因となっている様だ。船会社は新型肺炎による物流停滞と採算悪化へ対応すべく減便やリースコンテナの解約返却などコスト削減を実施した。
しかし8月以降中国発米国向け貨物は前年度比17.4%増、欧州向け輸出は6.5%程増加し中国の景気再開により逆に急激なコンテナ不足が発生する事態となってしまった。解約したリースコンテナは通常すぐに廃棄あるいは転売される。リース会社にとって返却されたコンテナはその保管維持費だけで莫大になる上に、古くなって傷んだバンから先に解約される為、再貸出しする事が難しい事が理由だ。返却された中古コンテナは転売された後アフリカや南米の奥地で輸送用として使用され、現地で荷下ろしされた後は帰り荷も無くそのまま住居や倉庫として再利用されているそうだ。
通常毎年250万~300万TEU(20’F換算のコンテナ数)のコンテナが中国で新造され市場に供給される。しかし今年初旬は船会社のコンテナ数量の調整から注文が減少し、一時操業を停止するコンテナメーカーもあった。8月以降フル生産体制を取っているが、世界のコンテナ数が元に戻るのは来年の初旬までかかるとみられている。