■ マーケットハイライト:コンテナ不足が世界的問題へ
2020年10月30日
アジアにおけるコンテナ不足と本船不足による海上輸送の問題は古紙だけでなく、世界的物流問題へと発展している。特に運賃の安い古紙はいち早く船会社のBooking受付対象から外され、この2か月で運賃も数倍、ひどいところは10倍を超える水準まで値上がりした。
今年初旬新型肺炎により物流が停滞し船会社はリースコンテナの解約と本船の減便(傭船契約の解除)を行った。しかし中国の経済活動再開後輸出が増えた一方で、欧米では感染第二波、第三波の拡大により労働者と港湾作業が制限され大量のコンテナが港に滞留。
また9月に発生した豪州の港湾ストや米国大統領選による労働者の休暇取得によりさらに荷役の遅れは深刻化、欧米諸国の沖合に荷役待ちの本船が係留される結果となった。アジアにコンテナが戻らない事により中国・アジアからの欧米向け海上運賃は4000~5000㌦/TEU (20feet換算)まで高騰し船会社は日本・欧米からのBookingを断り空コンテナのまま中国へ回送している。
しかし兼ねてよりの減便や本船の係留で航行できている本船は少なく一向にコンテナバランスは改善する様子はない。この海上輸送問題は少なくとも旧正月明け、半年近くは解決しない見通しだ。
都市封鎖による回収量の減少と海上運送の問題により、既に調達済みの欧米古紙が入荷されず東南アジメーカーの古紙在庫水準は低い状態となっている。しかし日本からの調達もコンテナ問題から思うようにできずドル建てOCC価格は11月に入り20㌦ほど値上がりした。
現在の相場はAOCC CIF ASIA 190~210㌦ EOCC 180~210㌦ JOCC 150~200㌦とJOCCは久しぶりに200㌦を超える高値になっている。しかし円高基調と海上運賃の急激な値上がりにより古紙問屋店頭円建て輸出価格は下落しており、物流問題から今後価格の問題ではなく輸出自体が滞ってしまう可能性も否定できない。