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古紙不足

深刻な古紙不足の懸念と今後の需給 ①

古紙不足の懸念

  ■ 深刻な古紙不足の懸念と今後の需給

2021年7月31日

 輸出古紙価格高騰するも古紙問屋は国内向け優先 

7月の中部商組段ボール古紙輸出価格は古紙問屋店頭24.5円/kg、売価はCIF 280㌦と18円の国内建値を超え2018年以来の高値を付けた。新型肺炎の流行による世界的なコンテナ不足と古紙の発生減に加え、東南アジアに於いて段原紙の生産量が大幅に増加した事で日本への古紙引き合いが強まった事が原因となった。米国に於いても、通販需要の拡大や古紙の国内消費が進んだことで輸出量が減少している。中華系メーカーは再生パルプ用にAOCCを優先的に購入していることから、必然的にアジアの製紙企業は日本の古紙に高値を付け古紙調達競争を繰り広げている。 

国内に於いても、大手製紙企業は増産と原紙輸出量増加によって古紙発注量を増やしている。古紙問屋は輸出価格が高騰する中、国内向け出荷を優先し1-5月の国内向け段ボール古紙出荷量は375万㌧前年度比17.5万㌧(105%)と増加した一方、輸出量は68.5万㌧に留まり前年同期比16万㌧以上(約2割)減少した。

古紙出荷量推移
段ボール古紙 出荷量推移(輸出+国内)
古紙輸出量推移
段ボール古紙輸出量推移
 日本国内の段原紙増産に伴う古紙消費量増加 

この数年間、アジアだけでなく日本国内に於いても段原紙の生産量は増強されてきた。丸三製紙、日本製紙大竹工場の改造から、北越コーポーレーションの段ボール事業参入、大王三島N7マシンの転抄と数十万㌧もの生産量が増強され、今年6月には王子製紙苫小牧工場の新聞マシンからの転抄も稼働を開始した。3年間で50万㌧以上も生産能力が増え、それに伴い国内の古紙少量も増加している。今年1~5月の生産量は420万㌧(前年比26万㌧増107%)となっており、通年では1,000万㌧を超えるペースで、生産量の増加に伴い国内古紙消費量も当然ながら増加している。

段原紙生産量と古紙消費量

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