■ マーケットハイライト:都市封鎖により回収減、需要悪いが物資不足で価格上昇
2020年4月28日
都市封鎖や物流の停滞により経済活動が縮小し、世界的な大不況がくることが懸念されている。欧州では都市封鎖や感染リスクから古紙が選別されず埋め立て・焼却へと回され、深刻な古紙不足から原紙生産が滞り食料や医療品を運ぶ段ボールが不足しているという。
東南アジアで製紙産業はインフラ事業とみなされ都市封鎖がなされる中でも稼働を続けている様子だが、欧米からの古紙輸入が滞った事によって原料不足に陥っている。
需要の減退から原紙価格こそ弱含んでいるが、同エリア向け古紙輸出価格はジリジリと値上がりし現在のJOCC価格はCIF TAIWAN $150(CY14.0~14.5/kg)CIF VIETNAM $165~170(CY14.5~15.0 /kg)となっている。
中国では新型肺炎が収束に向かい武漢の封鎖も解禁された。しかし外国人の入国は未だ制限されており、欧米向け輸出も大きく減少している。一足先に収束・稼働を開始した中国だが、景気の減退と包装需要の縮小により古紙・原紙価格共に急落した。その後下がりすぎた価格を調整する様に若干反発しているが、不足する古紙の価格上昇を製品転嫁できるかが今後の市況を左右するだろう。
日本では都市封鎖に強制力はなくもとより古紙は自給自足、製紙に影響する様な古紙不足には至っていない。しかし日本に於いても感染リスクから集団回収の中止、輸入品の減少により古紙の発生自体は減っている。景気が悪化する中で、日本の段原紙メーカーはが輸出によって古紙利用を維持しているが、原紙輸出と製品の輸入減により紙の消費と古紙発生の経路が変わり始めており日本に於いても今後古紙が不足する可能性がある。
世界各国政府が無制限の量的緩和政策を実施、大量の資金が流入する中での物資不足は強烈なスタグレーションを発生されるリスクを伴っており、海外市場は非常に不安定となっている。さらに現在の世界紙需給は複雑にサプライチェーンが絡み合い他国の需給も大きく影響する為、非常に市況が予測しづらい状況だ。