■ 中国製造業 CO2排出制限と電力不足により操業短縮
2021年9月25日
中国当局は、2060年までに二酸化炭素(CO2)の排出量を実質ゼロにする目標を掲げ、発電量を制限している。
しかし新型肺炎からの経済的回復も重なり、今年上期の中国政府の掲げるCO2排出目標のエネルギー消費目標を達成できたのは、国内30省・地域のうち10省・地域にとどまった。9省・地域はエネルギー消費量が前年比で増加している。
中国中央政府は目標を達成できなかった省を厳しく非難しており、江蘇省を始めとする9つの省は今年残りの期間に於いてそれを補うためのエネルギー節約策を実施しなければならない。
東莞市電力供給局は、地元の家具メーカーや製造業などに対し、22日以降、電力使用制限を全面的に実行し毎週1回の送電停止を実施すると発表した。同省佛山市などは、週5日間の稼働停止を命じるなど、さらに厳しい電力制限を設けているエリアもある。
玖龍紙業など大手製紙企業が基幹工場を構える東莞市では石炭ボイラーを天然ガスボイラーに転換するよう、地方政府から指示を受けているが、電力ソースの置き換えは遅れている。 今回の電力供給不足やCO2排出制限の影響で、大手製紙各社はマシンの停機を発表しており、製造業全般の生産に影響がでている。
電力消費削減(CO2)目標を達成できなかった省の中で最も経済規模の大きい江蘇省昨年の総生産は10.3万億元(約17兆円)で、製造業はその40%以上を占める。 家電メーカーやアパレル企業も休業を余儀なくされており、江蘇省の経済活動に著しい影響を及ぼし、年末及び祝日前の生産と販売にも打撃を与えると予想されている。
また中国は豪州との関係が悪化し、昨年9月から豪州産石炭の輸入を非公式に禁止。12月半ばには、正式に禁輸を決定したことで、国内の石炭価格高騰や供給不足などが発生し、電力危機の要因となっている。