■ 中国のチップ輸入量増加 世界の広葉樹チップ貿易量の過半数を輸入
2022年6月15日
21年の世界の木材チップの輸出量は約3,500万m3に達し、過去最高となった。輸出量の5分の4は広葉樹チップとなっており、主に中国・アジアのパルプ工場向けだった。 特に中国は木材チップの供給の40~80%を輸入に依存しており、古紙輸入禁止後のパルプ設備拡大が世界のチップ需要をけん引した。 Wood Resource Quarterlyによると、21年の中国木材チップ輸入量は前年比12%増の1,480万odmtと中国がパルプ用チップの輸入を開始した2008年以来過去最高となった。 さらに22年1~4月の中国の木材輸入量は前年同期比10%増加し、世界の広葉樹チップ輸入量の56%を占めるまでに拡大している。 一方、中国以外の国の木材チップ輸入量は過去10年間比較的安定しており、総取引量が1700万トン強に減少した20年を除いて、年間1900万〜2100万トンの範囲で推移している。
中国の主なチップ輸入元はベトナムで57%、オーストラリアは18%、チリ6%、ブラジル4%となっている。 製紙用木材チップは低品質な広葉樹チップ(Acacia)が最も多いが、近年高品質なユーカリチップの輸入量も増加傾向にある様だ。
ロシアはウクライナ戦争後、ヨーロッパ、米国、カナダ、日本、韓国、台湾、オーストラリアへの木材輸出を禁止し、世界の需給に大きな影響を与えた。特にフィンランドはロシアと国境を接し、針葉樹丸太輸入もその77%をロシアに依存していたことから、深刻な木材不足、引いては紙パルプ不足を引き起こしている。 またウクライナ戦争以前からロシアは23年以降針葉樹の輸出を制限する事を決定している。製紙用木材チップに限って中国はロシアに依存していないが、ロシアは年間80万トンの針葉樹を輸出しており、中国は毎年ロシアから690万立方メートルを輸入している。これは中国の輸入全体の11%に達する。 丸太として輸入され、製材される工程で発生する中国国内のチップ生産量はロシアからの輸入量にも影響を受けると言える。