中国「固形廃棄物環境防治法」改定、船会社の責任が明文化

  ■ 中国「固形廃棄物環境防治法」改定、船会社の責任が明文化

2020年9月

9月1日施行の改定「固形廃棄物環境防治法」に備え各船会社が欧米からの古紙船積みを敬遠したことをきっかけに中国メーカーからの引き合いが強含んだ。

今回ライセンスが年内有効であるにもかかわらず一部の船会社に於いて古紙の船積みを停止する決定をした背景には「固形廃棄物環境防治法」の中に運送会社に対する重い連帯責任が加わった事が原因だ。 

 対象の条文は第一百一十五条の“违反本法规定

将中华人民共和国境外的固体废物输入境内的,由海关责令退运该固体废物,处五十万元以上五百万元以下的罚款。 承运人对前款规定的固体废物的退运、处置,与进口者承担连带责任。”  

訳文:「この固形廃棄物の輸入に係る法律の規定に違反し、中国国内にこれを輸入しようとする者は税関の命令により貨物を積み戻し、50万元以上500万元以下の罰金に処される。運送業者はその固形廃棄物の返送及び処分において輸入者と連帯して責任を負う。」

となっており船会社にとって大きなリスクとなる形となった。古紙の船積みを停止した船会社はCOSCOやYML、WHLが9月1日到着分以降より引き受け停止、HASCOは10月以降について検討中、CMAは8月到着分から停止、OOCLは10月16日以降BOOKINGを停止する。一方SITCや日系船社のONE、台湾系のEVER社は対応を検討中とし船積みを継続している。

 船会社によって対応はまちまち

荷受人の輸入ライセンスやL/I(補償状)を船会社に差し入れる事によってBOOKINGを受け付ける船会社もある。各社対応はまちまちだが中国向けの物流門戸が狭くなったことは間違いなく、中国製紙メーカーは比較的船会社が対応の甘い日本古紙の調達に力をいれる動きを見せた。現在は順調に調達できたとみられ一服感もあるが、中国大手製紙メーカーの話では10月に第4四半期の輸入ライセンスが発表される見込みが高い。発行総数は約80万tで大手三社を中心に発行されるという。このライセンスが発給されれば年間発給数量は670万tとなり恐らく年内最後の発行となるだろう。

 市場への影響 

ライセンス発行や9月以降も滞りなく現地通関が行われれば、中国向け古紙BOOKINGを敬遠している船会社もその姿勢を軟化させる可能性もある。また欧米からの船積みは到着まで45日~60日必要な為、ライセンスの発行が濃厚になれば、それを見越した中国製紙メーカーが欧米古紙の先行買付を開始するのではないだろうか。

 一方先進国の新型肺炎流行が収束せず需要が回復しない東南アジアに於いては原紙価格の回復が遅く、中国に引きずられる形で古紙価格上昇に抵抗感をもちながら慎重にその購入価格を上昇させた。しかしEOCCの価格が下がった事をうけ、9月に入り国によってはその購入価格を軟化させている。

現在の相場はJOCC CIF CHINA $180-185(CY16.5-17.0/kg) CIF TAIWAN $160(CY16.0-16.5) CIF INDNESIA $180-182(CY17.0/kg)付近となっている。ベトナム向けは$170~165(CY16.0)とやや弱含みだ。発生の少ない新聞古紙に於いてはCY20~22円、雑誌古紙は16円以上の高値もついている様だ。

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