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中国最大手通販会社段ボールのリユースを開始、今年の「独身の日」の包装需要に影響?

中国箱回収
再利用される段ボール                                             扱いやすく再利用しやすいワンタッチ式の段ボール

  ■ 中国最大手通販会社段ボールのリユースを開始、今年の「独身の日」の包装需要に影響?

2019年8月30日

2017 年の中国環境対策による古紙の輸入規制は輸出古紙価格の乱高下を招き、輸入ライセンス発行数量が大きく削減された今年は米中貿易戦争による中国景気低迷も重なり、古紙輸出価格は低迷が続いている。

しかしライセンス発行が 1800 万tと大きく制限された昨年も年始、旧正月から夏場までは価格が低迷したものの、米国品に対する関税引き上げを皮切りに価格が上昇、秋需を迎え 11 月には JOCC $330 ㌦付近と史上最高値を付けた。 数年前からの秋需「独身の日」による中国国内の包装需要は古紙のマーケットにも大きな影響を及ぼしており、年々拡大している中国内需、米中貿易戦争による景気減速が報道される中今年もくるであろう秋需に古紙価格はどの程度影響されるのだろうか。

2019 年上半期の中国国内段ボール箱需要はマイナス 10%と報道されており、玖龍社につぐ大手製紙メーカーである理文紙業も本年の利益を 14 憶 3000 万元と対前年度比 44%減と予測、上半期の製造量も 10減の 250 万tであった。

米中貿易戦争による景気の悪化は中国国内段ボール産業へも大きく影響しており、今年も頼みの   綱の秋需(内需)「独身の日」に対する期待値は大きい。

その秋需の包装需要に関し 8 月に入り気になる記事を多数見かけた。 秋需最大の需要家である天猫(アリババ社)では環境問題に対する取り組みの一環として北京 上海、広州、天津など 10 の都市で包装資材におけるリサイクルシステムを導入するというものだ。 具体的にはベンチャー企業である菜鳥(cainaio)社へ天猫社が出資を行い包装資材のリサイクルを行う。

通信販売の配達員が各配達先で空き箱の有無を確認、段ボール等の梱包資材を回収し、菜鳥社の倉庫へ持ち帰る。 同社は回収された段ボール箱を清掃選別し、再利用不可能なものは古紙として転売、使用可能なものは天猫に供給する仕組みだ。 また、今回の再利用システムの導入にあたり、今後新規に購入する段ボール箱に於いては、通常の紙テープ方式の段ボール箱やカットテープ式の段ボール箱を止め、ワンタッチ開閉式の段ボールの導入にも取り組み、再利用しやすい段ボール箱に切り替える予定 だ。       

再利用される箱にはグリーンラベルが貼られ、環境保護を目的にリユースされた梱包材であり通信販売利用者も環境保護に気軽に参加できていることをアピールしている。    さらに天猫は全体の40%程の段ボールを回収し再利用することで年間 70  万tの木材と水を節約できるようになると発表しており、環境面での貢献を目標に掲げている。

天猫(Tmall)はアリババグループの通販会社一つで中国国内をメインにした EC サイトを運営している。 出店は法人のみの扱いとなっており、グループ全体の年間取引額は 48 兆 5,846 円と中国における EC サイト売上シェアの 57.7%を占めており、2018 年の「独身の日」に於ける売り上げは 3.5 兆円に達した。

中国最大の通信販売会社で「独身の日」の立役者である天猫社の取り組みは、今後秋需における包装需要にとって少なからずマイナス影響がでるのではないだろうか。

箱再利用
再利用された箱に添付されるラベル。8000g の木材と水が節約されたと記載されている。
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