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マーケットハイライト:中国景気失速感 古紙価格は横ばいからやや弱含み

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  ■ マーケットハイライト:中国景気失速感 古紙価格は横ばいからやや弱含み

2021年9月30日

8月から若干軟化傾向にあった輸出古紙価格だが、例年なら秋需に入る9月になっても価格が再上昇する雰囲気はまだ見られない。

古紙消費国である東南アジア各国の生産活動が都市封鎖によって十分に行われていない事と、中国の景気失速感が強まっており秋需を前にしても消費が活性化していない事が原因の様だ。 

東南アジアでは人と物流制限により製紙企業自体の稼働率も低く、中国向け段原紙輸出量も伸び悩んでいる。 製紙資材部には都市封鎖によって地元古紙の回収も悪いが、原紙需要も弱く稼働率が低い中でわざわざ高い古紙を買ってまで在庫を積み増す必要があるのか?といった雰囲気がある。 

特に高すぎる米国古紙価格を押さえる目的で米国以外の古紙買い付けを増加させつつあるものの、欧州古紙の割安感に日本品を積極的に買っているわけではない。マーケットは不気味なほど静かな状況で、

現在の相場はJOCC CIF TAIWAN $275~280(CY26.0~26.5/kg)CIF VIETNAM $305~310(CY26.5~27.0/kg)と横這いからやや弱含みとなっている。 

6月から日本の古紙輸出価格をけん引した台湾製紙企業も、内需の冷え込みと原紙輸出の減少によって古紙買い付けの手を緩め、当社親会社である正隆紙業も9月は数日間の輸出操短を実施、古紙の船着を遅らせる様サプライヤーにアナウンスした。 

また中国が害虫混入を理由に台湾製フルーツの輸入を禁止するなど経済制裁を課していることから両国の関係は悪化している。台湾の第一次産業が閉めるGDPのウェイトは1.7%で経済的に大きな影響はないと思われるが、今後政治的関係悪化がどのような方向に進展するかは注意が必要だ。


しかし、国内の古紙問屋店頭ベースの輸出価格は売値程弱含み感がでていない。 ここにきて玖龍社や山鷹社など中国勢が東南アジア自社工場向けに日本の古紙を買いだしており、問屋の秋需への期待と共に内外ギャップがでている。   

日本国内の問屋古紙在庫率は極めて低い水準となっている。段ボール古紙の発生量は都市部こそ大きな減少は見られないが、地方では明らかに発生が悪い。 さらに問屋は国内への供給を優先している為1-7月の段ボール古紙輸出量は95万㌧と前年度比2割ほど少ない結果となった。 

輸出価格に引きずられ古紙問屋の仕入れ価格も上昇している事から、輸出原紙生産の為高稼働を続ける国内製紙会社への出荷を増やしたことで採算が悪化している。 そういった声を受け9月は逆プレミア価格の取りやめと、輸出古紙価格に対応し建値以上の価格をつける製紙企業もあり、また原料不足と不採算から輸出原紙の生産量を調整する製紙企業もあった。

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