古紙輸入禁止と脱プラ政策によって高まる中国の白板と高級板紙需要

  ■ 古紙輸入禁止と脱プラ政策によって高まる中国の白板(コートボール)と高級板紙(カード紙)需要

2021年5月8日

昨年末よりパルプ価格が高騰し、中国の白板・高級板紙価格も高騰している。段ボール原紙価格は3月中旬以降価格の上昇に一服感があるが、白板関連は価格が弱含む様子は見られない。その背景には脱プラ政策によって好調な市場ニーズが影響している。玖龍社など大手製紙各社も食品用高級板紙市場への参入を表明しているが、今後も中国の白板市場は堅調に成長するものと思われる。

中国のコートボール生産量は2012年~19年までほぼ増加は見られず、1400万㌧前後で推移していた。消費量は1379万㌧から米中貿易戦争の影響を受け減少、2018年は1219万㌧まで縮小している。しかし、プラスチック包装資材の使用制限政策が取られた事により、白板は代替え素材として需要が高まり19年から再び増加に転じた。2020年の消費量は新型肺炎の流行により上半期前年度割れとなったが、6月以降に急激な回復を見せ、年間消費量は1373万㌧と前年度比7%の増加となっている。

高級白紙は2019年に約1047万トンの生産量となり、前年同期比14.5%増加した。白板紙の普及により最も生産量の減った2016年から徐々に回復し、2019年の工場稼働率は77%から88%に上昇している。 脱プラ政策による食品産業への普及が進んでおり、大手製紙各社が新規参入や設備の増強を計画している。しかし現時点では急激な需要の増加と生産設備の不足、及びパルプ価格の高騰から短期的に価格が高止まりすると思われる。

脱プラニーズだけではなく、新型肺炎の流行によって人々の生活スタイルが変化し、スーパー、宅配便、テイクアウト業界の売上が増加していることも高級白板の需要増加を助長している。特にテイクアウト産業において、環境に配慮した弁当箱に対する白板需要は大幅に増加している。  

ケータリング成長率

2015年に17億件であったインターネットケータリングのテイクアウト受注は19年には160億件と急激に増加し、年間成長率は75.15%となった。使用される容器がプラ素材から紙に変わった事により、食品グレードの白カード需要は今後も成長すると考えられる。

また肺炎が終息した事によって、医薬品や高級化粧品の売上が回復し、経済成長も相まって包装材の高級化も白カード紙の需要を後押している。 さらに需要は多様化しており、医薬品、タバコ製品、乳製品、カレンダー、名刺、その他の高級包装にも使用されるようになってきている。

2019年の白カード使用割合は医薬品が28%、タバコ11%、食品包装は11%だった。

高級板紙用途別比率

現在の中国の白カード生産能力は1,034万㌧で、そのうち金光紙産業は、江蘇省寧波市と広西チワン自治区で合計350万㌧/年、博汇紙業は215万㌧/年、晨鸣(チェンミン)と太陽紙業(サンペーパー)はそれぞれ200万㌧/年と140万㌧/年となっている。 左記4社で白紙市場の87.52%を生産している。金光紙産業は2020年に博汇紙業を買収し、さらに広西省の180万トンの生産設備を増強する事で市場占有率は61.36%に達する見込みだ。

高級板紙メーカー別占有率
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