■ 中国白板/白カード市場
2021年12月25日
白カード【白卡纸(原生白板纸)】の原料はパルプ、白板紙【白板纸(再生白板纸)】の主原料は古紙となっており、白カードは白板より印刷適正に優れ価格も高く主に煙草箱用、食品用、日用品用途に利用される。 製品規格は白色度によってA,B,Cのグレードに別れ、それぞれ92%、87%、82%以上となっている。坪量は200g/㎡、220g/㎡、250g/㎡、270g/㎡、300g/㎡、400g/㎡、が一般的。シートサイズは880x1230mm、787mmx1092mmが多い。Bグレードが最も市場に流通しており、品質的にもAグレードと大きな差はない為多くの大手製紙企業がこのグレードを生産している。Cグレードは原料に古紙が混ざっており主に中小製紙企業が生産しているが、昨今の環境規制によって生産するメーカーは急減している。
白カードの用途は電子部品、乳製品、デスクカレンダー、名刺など多用途化している上に、ケータリングなどの食品用途や医薬品、高級化粧用品向けの高級白板紙の消費量も急速に増加している。 最も消費量の多い薬品用途が28%を占め、煙草箱、食品用途を含めると全体の60%に達している。 特に今年の消費動向をみると、生活必需品用途の消費量は安定しており、第2四半期に贅沢品の消費が急回復した。 特に医薬品・サプリ、化粧品向けの向けの増加が顕著で、ケータリングなど食品用途向けの消費も安定的に成長している。
2012年から2019年の中国の白板(古紙もの紙器用途)生産能力は1400万㌧を維持していたが、販売数量は1390万㌧から1277万㌧に減少した。 さらに2020年4月以降の感染流行によって紙製品の需要は減退し、価格も急落した。しかしいち早く感染を封じ込めた中国では6月以降徐々に需要が回復し、価格も安定した事で在庫レベルも適正な水準まで持ち直している。
一方白カードは中国の脱プラ政策が加速するにつれて代替え素材としての需要が強まった事で、消費量が急増した。2019年の消費量は1047万㌧で前年度対比14.5%増、工場稼働率も最も低かった16年の74%から徐々に回復し19年は前年度比7%増の88%を記録した。
白カードの生産企業数は21社、生産能力は1300万㌧で、上位4社(APP、博匯、晨鳴集団、太陽紙業)で77%(1006万㌧)を占める。
さらに2021年に入り、海上運賃の高騰と、中国でのパルプ消費量が増加した事をうけ、原料となるパルプ価格が高騰、4月に㌧当たり10000RMBを超える水準にまで高騰した。 その後パルプ価格の軟化と、中国政府の「共同富裕」「インフレ抑制政策」によって価格が崩れ、さらに学習塾の無償化政策などによって教科書等の出版物が減少した事を背景に消費が減退した。2021年12月現在の白カード価格は7200~7400RMBと最高値から3割近く軟化している。
消費面では、厚物(高板)の伸びが堅調となっている。プラ製品からの置き換えと、通信販売の普及によってケータリング食品の消費が増え、食品用途の白板(カップ原紙)等の消費が急増した事が背景にある。中国国内のケータリング市場は15年の年間17億件から19年には160億件と75.15%成長し、新型肺炎の流行も重なり環境を意識した紙製ランチボックスとして食品接触基準をクリアした白カード紙は今後も市場の成長が期待されている。白板/白カードの生産量は今後5年間で1900万㌧以上増加するとみられ、特に白カード紙や食品用途の高板は玖龍社など大手板紙企業の参入も相次ぐ。生産量は2023年に2422万㌧に達し21年比60%の増加となる見込みだ。
白カード生産企業 今後5年間の白カード増産計画