中国向けパルプ価格上昇 ロシアからの供給停止と南米ストライキが影響

  ■ 中国向けパルプ価格上昇 ロシアからの供給停止と南米ストライキが影響

2022年5月15日

中国向けパルプ価格が上昇している。昨年末より中国政府の厳しいゼロコロナ政策により中国の生産活動は制限され、パルプ価格は軟化傾向にあった。しかし、UPM社のストライキや北米パルプメーカーの定期メンテナンスとコンテナ不足によって3月以降価格は反転。 現在UPMのストライキは終了し、中国の都市封鎖によって需要は低下しているが、南米チリの大手パルプ企業CMPC社のストライキなどにより供給が制限された事で価格がさらに上昇した。 中国はロシアによるウクライナ侵攻後、ロシア産パルプを安価に購入できていたが、ここにきてロシアパルプ企業が薬品等の副資材の調達が滞った事で減産と停機を発表した。またロシア-中国間の貿易量が増えた事でシベリア鉄道の運賃も上昇している。 

 中国向け針葉樹漂白パルプ価格(BSK)は昨年12月の720~800㌦を底値に反転。4月は990㌦前後だった。さらに南米サプライヤーが値上げを発表した事で5月のオファー価格は1000㌦を超える水準となった。 広葉樹パルプは昨年年末針葉樹と同様に590㌦まで軟化したが、現在は835㌦付近まで回復している。包装用途として需要が拡大しつつある未晒しパルプは910~930㌦、BCTMPは700~730㌦前後でのオファーとなった。

また昨今の米国FRBの金利利上げ決定により、人民元は対米ドルに対し値下がりした。中国にとってパルプの価格上昇に加え、人民元安によって輸入コスト負担は大きくなっている。

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