■ 中国パルプ価格 100㌦以上下落 需要悪化に値下げ圧力が拡大
2023年4月5日
中国市場で大幅なパルプ価格の下落が続いている。 軟調な紙製品需要に加え、パルプラインが次々と増設される事に対する供給過多懸念が影響し、中国国内スポット価格が昨年11月以降、数カ月連続で下落した。さらに木材価格も落ち着きつつある上に、2月の欧州メーカーのパルプ在庫は167.3万㌧と昨対比4割以上多い。中国大手ユーザーはサプライヤーのオファー価格を押し下げるべく、その購入量を大幅にカットし強気な交渉を続けている。 中国の統計によると、3月下旬の中国内針葉樹パルプスポット価格は6176RMBと昨年10月の最高値から17.73%下落した。広葉樹パルプは5193RMBで22.6%下落した。
チリの大手パルプメーカーであるArouco社は2月末より数回にわたりオファー価格を軟化させており、最終的にラジアタパルプ815㌦、USK670㌦、BHKは620㌦まで100㌦以上値を下げた。同社の価格改定を受け、欧州NBSKも800㌦前後まで値を下げており、BHK価格も700㌦を下回った。最大で150㌦以上値崩れしたメーカーもある様だ。
中国の供給過多問題には各国の増産や、ロシア産パルプ輸入の拡大も影響する。チリの Arouco社の年産156万㌧新BHKラインは1月に稼働を開始、3月に商用運転を開始した。 UPM社のウルグアイ工場では年産210万㌧のユーカリパルプラインが今年第1四半期中に稼働を開始する。そんな中、ロシア大手紙パルプメーカーであるllim社は中国への輸出量を拡大させている。同社は2022年、170万㌧の紙製品と135万㌧のパルプ、36万㌧の板紙を中国に輸出した。同社は今後もパルプ及び板紙の増産を発表しており、2025年までに中国向け販売数量をさらに15%拡大する目標を掲げている。