■ パルプ使用率が増える中国
2020年9月
中国の通関統計によると、2019年の中国のパルプ輸入量は2,720万トンに達し前年比9.7%増加した。20年は6月単月でパルプ輸入量は249万トンと前年比1.3%増加、20年1月から6月までの半年間の累計は1,464万トンに達し、前年同期比で205万トン、16.3%増となっている。
上記山鷹国際のSCP工場建設も含め過去のレポートにも多数記載させて頂いたが、古紙が輸入禁止となる中国に於いてパルプ使用を前提とした強化芯や高強度ライナーの増産計画が多数発表されている。RISIの調査によると‘20年だけで135万㌧の段ボール増産が稼働予定とされており、290万㌧が計画準備中となっている。
また中国造紙協会の統計を見ても環境規制が始まった17年以降、紙・板紙や再生パルプの輸入量も増加した一方で、パルプの生産量・輸入量も大幅に増加している事がわかる。‘19年の木材パルプの製紙用途消費量は3,581万tで前年度比8.42%増加、生産量も1,268万tと10.55%増加した。紙に配合されているパルプの割合も2013年26%であったが19年は37.27%まで増加したとの統計も発表されている。
’18年は中国に於いて紙・板紙の消費量が8~10%程縮小した。米中貿易戦争による景気の冷え込みもあるが、同年の中国GDPは対前年度比+6.6%成長しており消費量の縮小を景気による需要減だけでは説明できない。古紙調達が難しくなった事で原紙に含まれるパルプ比率が高まり、高強度化、薄物化が進み重量ベースの消費量が減少した事が背景にあると感じている。
上記中国における紙板紙の原料構成比からも段原紙や再生パルプ輸入量だけでなくバージンパルプの輸入量及び生産量が大幅に増加している。‘21年は対17年比で段原紙+再生パルプの輸入が+1097万㌧、パルプの生産・輸入量は+992万㌧増になると予測する(造紙協会統計及び通関統計より筆者推測)