■ 環境問題から植林が進む中国、一方で木材輸入量は大幅に拡大
中国の国土面積は9憶4200万haで世界第4位だが、1950年前後の森林率は8,6%でさらに砂漠化が進んでいた。 その後中国政府は洪水や砂漠化対策として猛烈に植林を進め、各省に一定面積の植林目標を設定した。1990年で森林率16,4%、2010年から2015年にかけては毎年平均154万2,000ha (0.8%) ずつ植林しており、19年に造林された面積は約700.7万ha、保護育成された森林は約700.6万ha、造設された備蓄林は約66.7万ha以上にのぼり、森林率は22,1%まで増加している。
森林面積とその備蓄は30年間以上増え続け、現在は森林面積2憶1200万ha と最も森林資源が増加した国家となった。 地球上の森林面積は約40億haで、アジアは約6億ha。そのうち中国の森林面積はアジアの3分の1近くを占め、さらに中国の人工林面積は6933万ha、32%と驚異的な数字となっている。
2020年にはさらに約600.7万haの造林、1億2000約800万haの森林保護育成が計画されており、2050年までに森林率を42,4%まで拡大する目標を掲げている。
一方で1998年前後に洪水などの災害が相次いだため、天然林保護工程(プロジェクト)「天保工程」を発表し天然林の伐採を厳しく禁止している。 2016年以降は、中国社会経済開発第13次5カ年計画(2016年~2020年)に基づいて国有林・集団林を問わず、天然林における商業的伐採を全面的に停止した。 現在、商業伐採が許されている場所は再植林された森林だけとなっている。
中国は必要な木材は輸入する方針に切り換え、2019年の丸太輸入量は2憶4300万㎥、世界全体の輸入量に占める割合は45%にも達し世界一の木材輸入大国となっている。 主にロシアのシベリア材や北米、ニュージーランド、ヨーロッパからの輸入量が多いが、19年は米中貿易戦争の影響で北米からの輸入が前年度比32%減少した。それによりその他の地域からの輸入が26%増加、特にヨーロッパからの輸入が8倍近く増加している。 輸入された木材に占める加工木材の種類比は丸太が43%、製材が39%、チップが11%となっている。
中国の製材消費量は過去20年間で2.5倍に拡大し、丸太輸入量は23%増加したが、国内生産量は横ばいで推移している。 中国は植林を進める一方で、木材は輸入に依存し、家具や建材、木材製品に加工し輸出している事がわかる。