■ 中国商務省 紙加工貿易制限リストから紙製品を除外 過度な紙価格上昇をけん制/b>
2021年6月20日
中国商務省と税関総局は6月15日、加工貿易の禁止・制限措置の見直しを発表した。これによりHSCode:4801~4816の紙製品は加工貿易が解禁される。紙製品は新聞紙・非塗工上質紙、衛生紙、段ボール原紙などが対象になり、加工貿易によって再輸出入する場合の関税の還付及び免除を受ける事ができる様になる。
昨今のインフレによる原材料の高騰を受け、紙製品の加工貿易(輸入)を解禁する事で物価(紙製品)の上昇を抑制する狙いがあるとみられる。
中国政府は2005年頃から特定の加工貿易に関する制限を設け、加工貿易に係る関税の還付・免除をしない対象品目リストを発表、特定の(簡易的な)加工貿易を制限していた。
加工貿易を制限する目的は対象商品の国内外価格格差が大きいものが加工と称して輸入され、密売される可能性が高い事から租税の徴収に支障をきたす事が理由とされている。またエネルギー大量消費型、高汚染型、資源関連の製品や繊維品、家具、プラスチック製品など、低付加価値で労働集約型品目も規制の対象としている。
その後対象品目リストは随時見直しが行われているが、古紙輸入規制により国内の原紙が不足する事が予想された事から昨年12月1日より、この制限リストに紙製品の加工が加えられていた。 規制開始後も別途法的に輸出入が禁止されていない商品は通常の輸出入手続きによって輸出入は可能だが、税金の還付は受ける事ができなかった。
しかし、新型肺炎の流行を受け紙価格が上昇、海上運賃の上昇や物流の停滞によって紙製品の調達が困難になった事や紙価格の異常な高騰を制限し、国内の紙加工産業を適正に発展させるために規制の対象から紙製品を除外する決定を行った。
また、古紙の輸入禁止措置が取られた事で中国にコンテナが戻らない事への対策も兼ねている。新型肺炎の流行により欧米でコンテナが滞留している事もあるが、古紙が東南アジアやインドに流れている事で中国が輸出に必要なコンテナを確保できない事が問題となっており、加工貿易を増やすことで輸入品(物量)を増やす目的があるとみられる。
尚、規制対象品目に(4707)古紙は残ることとなっており、古紙の輸入規制には影響はないと中国税関は発表している。
中国政府は過度なインフレに警戒を示しており、5月には過度な先物市場への投資制限を検討する発言をし、パルプや鉄鋼、石炭などの先物市場価格が大幅に下落した。また一部の鉄鋼製品の輸出関税を15%から20%に上乗せする方針を発表しており、様々な物価抑制政策や人民元高も容認する発言をしている。