中国東莞 段原紙価格上昇  政府指導により石炭ボイラーを天然ガスへ変更義務

  ■ 中国東莞 段原紙価格上昇  政府指導により石炭ボイラーを天然ガスへ変更義務

2021年7月1日

製紙の街東莞では昨月20日に新種の新型肺炎患者が発見され都市封鎖が実施されたが、現在は解除され物流や創業は通常通り行われている。 しかし段原紙価格は中小製紙企業を中心に50RMB~200RMB程値上げが発表された。 

今回の値上げ要因は中国政府が30年までにCO2排出量を対2005年比65%削減、60年までにカーボンニュートラルを実現する事を公約に掲げている事が影響している。一次エネルギーに占める原子力、再生可能エネルギーに割合を20%、天然ガスを15%以上にする事が目標とされており、兼ねてより製紙企業には天然ガスボイラーに切り替える様に指示が出ていた。

4月23日、石炭ボイラーを天然ガスに切り替える政策案が公表され、5月から東莞市に中央環境保護局が駐在し具体的な目標が示された。 しかし、天然ガス切り替えにはインフラやコスト面でハードルが高く、製紙企業の対応は遅れている。 玖龍社は5基あるボイラーの内、1基は天然ガスに切り替えが完了、もう一基は年内に切り替えるとしているが、残る3基は数年以内と未だ具体案が出ていない。

今後天然ガスへの切り替えが進まない場合、石炭ボイラーは使用できず電力的な問題から製紙企業は交代で操業する事を余儀なくされ影響が出ることが懸念される。 

また大手製紙企業は設備投資が可能だが、生産の圧迫とコスト増が価格に反映されることが予想され、中小企業は対応できない可能性もある。 事実6月末以降、東莞市からの要望により東莞上隆紙業は一か月、その他中小製紙企業は20-30日の停機を予定している。 停機した中小企業は市政府の操短要求と、在庫がひっ迫している事を理由に値上げを発表し、古紙も荷止め措置をとった。一方玖龍社、理文社、建輝紙業などの大手は通常通り操業を行っている。

広東省東莞市は製紙の街として知られ、同市に於ける主要企業80社の内15社は製紙企業となっている。東莞市製紙企業の天然ガス切り替え政策は、全国のモデルケースとされる事も考えられる。

7月1日から中国共産党創党100周年記念の式典が開催され、華北・河北地区や天津の製紙工場の一部に於いてマシンを停機する様に指示がでており、全国的に原紙在庫に影響が出ている事も価格上昇を促した。

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