■ 中国の国内回収古紙:分別状態は悪く明確な品質基準なし
2019年2月2日
中期的に見て中国の古紙回収率も世界古紙相場変動の大きな要素の一つだが、回収にはお国柄いくつかの難点もあるようだ。 行政レベルで増値税の還付や回収所の増設など国を挙げての回収率の向上に努めているが、製紙側からすれば輸入が規制された中国の国内古紙は国際相場より高く、買値を下げると回収業者は回収を止めてしまい古紙が集まらなくなってしまうジレンマに悩まされている。 おのずと中国の製紙メーカーの要求する品質基準も高くなっているのが現状だ。 過剰な資材調達競争が製紙の収益を圧迫していることもあり、資材部古紙品質管理部門に品質不良摘発件数のノルマを課しているメーカーもある様で、それが逆に古紙回収率の向上を妨げていると昨今問題視されている。 中国の製紙メーカーは国内の古紙価格を決定するにあたりそれぞれ各個に基準を設けており、大まかに4項目となっている。
1. 等級の決定 (AA級:段ボール100%新段 ・ A級:大型スーパー回収古紙・段ボール90-95%/雑紙混入無し 水分12%以下 ・ B級:スーパー回収古紙・段ボール80%以上水分12%以下/紙以外の禁忌品混入無し C級:小規模商店等回収古紙 60%以上段ボール古紙、水分12%以下/紙以外の禁忌品混入なし等 *各メーカーによって独自の基準)
2. 重量
3. 含有水分量(検水)
4. 含まれる雑紙・異物量
古紙購入価格=(計量重量-含水分量-異物量)x等級単価
上記計算方法を取る理由はまず国内古紙に対して日本の様に明確な古紙品質基準がないことにある。また中国の古紙市中回収は収集場所の環境も劣悪でごみや水分が混入し、古紙問屋により故意に水分や雑紙を混ぜるケースも多い。また製紙メーカー資材と古紙問屋の贈賄が後を絶たたず、適切な古紙品質維持のためメーカー側で摘発率にノルマを課さざるを得ないという。
お国柄こういった価格決定方法を取ることもやむを得ない事実で善良な回収問屋にとって回収意欲の足枷になっているとのことだ。 しかし輸入ライセンスの制限による価格の高止まりと、生活インフラの改善と消費の増加により古紙発生量も増え、補助金等国策として古紙回収率の向上を進めている中今後も古紙回収量が着実に増えることは間違いない。