中国製紙国内古紙購入価格を値上げ

  ■ 中国製紙国内古紙購入価格を値上げ

2019年2月20日

旧正月が明け、中国製紙メーカー各社は国内ローカル古紙調達価格につき若干の値上げを発表した。

中国のローカル古紙価格が旧正月明けに若干回復するのは例年の事で特に珍しい事ではないが、2月中旬以降のJOCC購入価格を1桁にまで調整するとアナウンスし、3月出し輸出組合の入札も辞退した玖龍社が突然CY15円台の価格を問屋に出している。

中国の古紙エージェントに中国市況が回復しているのかと問い合わせたが各メーカーの輸入古紙購買意欲は依然弱く、貿易戦争の影響による不況感は色濃く出ているという。 

ここにきて玖龍社が日本品の価格を上げてきた正確な背景はわからないが、旧正月休みにより国内古紙回収量が少なくなったこと、第2四半期のライセンス交付を前に、前回ライセンス交付を多く受けた東莞工場各マシンの休転明けが2月8-15日前後に集中し一斉に稼働を開始したことが原因ではないだろうか。昨年平均15日であった休転期間に対し今年は20日以上、中には35日もの長期休転する工場もあった。 

またもう一つの大きな要因として2018年12月を稼働予定としていた玖龍社重慶工場のPM40が1月16日正式稼働を開始した事もある。抄紙機は8.6mm、設計速度は1200m/分で日産1600t、古紙100%で高強度ライナーを製造するモンスターマシンだ。 

同社は年始到着分の米国古紙とのバランス調整の為JOCCの価格を安く抑えていたことから日本品の調達は殆どできなかったと思われ、旧正月の休転期間と調達バランス調整が一服した為、次回ライセンス交付を前に船足が短く割安感の出た日本の古紙購入を一時的に再開しているのではないだろうか。 

しかし中国国内の原紙在庫量は増加しており、米国品の調達価格も下がっていることから本格的な需要増というわけではないと推測する。

 同社の2019年増産計画は重慶工場のPM40以外に4機あり、泉州工場のPM39(年産35万t)、河北工場PM41(年産50万t)沈阳工場PM42(年産60万t)東莞工場PM43(年産60万t)で4機の合計生産能力は205万tにも及ぶ。 2014年以降同社は段ボール原紙の主だった増産を実現できていなかったが、2017年初旬に4機の抄紙機を発注した。 2017年の6月に突如開始された古紙輸入ライセンスの規制を予測していたのかは不明だが、輸入ライセンスが制限される中での今後どのように原料を調達するのだろうか。 

現在の玖龍社の古紙価格回復がさらに継続するのか、あるいはスポット的な需要なのかはまだわからないが、今のところ古紙を高値で購入する要因は少ないと思われる。 

玖龍社も日本古紙調達部隊の幹部を解雇する等昨年の古紙調達方針を見直す方向を見せていた事から昨年のような相場を逸した高値を付けることはないのではないだろうか。 しかし彼らの調達数量はマーケットを完全に左右するほどの影響力をもっており、今後もその動向が気になるのも事実だ。

主要中華系メーカーの休転期間とライセンス交付量
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