■ 中国国内古紙回収と需給バランス
2018年11月28日
2017年から本格的な固形廃棄物原料の規制が始まり、下水道使用許可を得た工場は現在3,073社で、内1,669社が古紙を使用する製紙関連企業となっている。
本年度の古紙輸入ライセンスは第24回目の発表で総計1,848万t。 中国税関総局の統計によれば、2017年の古紙輸入量は2,572万トン(前年度比-9.75%)であった為、今年はさらに前年度比71.8%しか許可が出ていないこととなる。
1,669社の製紙企業の最大生産能力は1.51憶t/年で2017年の紙生産量は1億1,130万t稼働率約74.8%、中国の古紙使用率(古紙使用量/生産量)は2017年で70.6%であったことから単純に7,850万tの古紙が必要だった計算となる。(2016年の古紙消費量は7,948万t)
中国の古紙回収率は2016年48.9%、回収量は5,098万t、2017年48.5%、約5,286万tで 2016年は国内の古紙需要に対し不足する約2,850万tを(2012年ピーク時で約3,000万t)海外からの輸入に依存していた。 古紙の回収率は2017年前年度比0.4%減少、回収量は188万t、3.6%増加した形だが、紙の生産量自体は2016年から17年で3.4%成長しており、1,210万t増加したため、古紙回収率は上昇とならなかった。
この増加した回収量は日本からの年間古紙輸出量の約半分にも及ぶ数字になる。 しかし依然として回収率は48.5%と先進国平均70%には遠く及ばず国内回収の向上が必須となっているのは事実だ。
一方で紙・板紙自体の輸入量は2016年297万tだったのに対し、2017年は466万tと56.9%も増加した。
「輸入禁止固形廃棄物目録」の禁止リストには古紙は記載されておらず、2020年以降も(少なくとも2021年)古紙は輸入可能だという憶測が広がっている。
今後も中国国内古紙価格の高騰及び中国政府の補助金等回収の後押しにより回収率は向上すると思われ、中国国内の紙製品の消費量は今後も大きく増加する為古紙の発生自然増が予想される。 また輸入再生パルプの使用率の増加により古紙利用率は消費ほど伸びず、原紙輸入の増加もありまだ数年はかかるものの、古紙需給ギャップは徐々に解消されていくのではないだろうか。