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古紙が輸入禁止となった中国 非木材(竹)パルプに注目が集まる

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  ■ 古紙が輸入禁止となった中国 非木材(竹)パルプに注目が集まる

2021年2月18日

中国では今年から古紙が輸入禁止となった事により、不足する繊維を確保する目的で非木材模造パルプに注目が集まっている。 中国において竹パルプはティッシュやキッチンタオルなど家庭紙の原料となるのが一般的だが、硫酸塩法とソーダ法を使用し30%~70%段原紙へ配合することで十分な強度が得られる事が実証されている。

中国は森林資源に乏しく一人当たりの森林面積は世界第171位となっている。一方、竹林の面積は610万haで竹製品の生産量・輸出量は世界第一位。

竹は成長が早く2-3年で再生し、繁殖力も高い。樹木の20倍の成長で成長し伐採後の茎からも再生する。一部の種では1か月に1mの成長を記録したものもある。強度は針葉樹と広葉樹の間ほどで、木材チップよりも色が淡く漂白に使う薬品も節約できる為、環境負荷も少ない。

竹パルプのデメリットは全ての種の竹材が製紙用に向いているわけでもなく、また繊維も長短繊維が混ざっており硬軟の差があるため選別が必要になる所だ。さらに伐採に手間がかかる事や、芯が空洞であるため集積にコストが掛かってしまう。日本では同様の理由で竹パルプ産業は衰退していった。

 行政主導で開発が進む中国

四川省宜宾市の地方共産党より四川省に群生する竹資源を使い製紙業を行う宜宾製紙を支援する方針を決めた。同市には230万haにも及ぶ竹森があり、同地域を開発支援地区に指定した。

中国ではユーカリの植林が環境汚染から規制され、農民の働き口の確保が問題視されていた。さらに環境規制により古紙輸入が禁止され原料不足に苦しむ製紙業とこの竹資源を利用した取り組みは相互利益があり、環境規制もクリアしつつ国内循環と地元農民の所得増加に貢献できるとしている。

また中国貴州赤水市は35憶元を投じ年間36万tの竹パルプ、30万tの原紙を製造する工場を建設する事を発表した。1500人以上の雇用を生み出し、10憶元以上の税収に繋げる。

同市は300万㎡にも及ぶ現地竹資源を利用した製紙産業の発展に寄与すべく共産党員のタスクチームを編成した。 また20年、6社の製紙民間企業が新たに同市へ製紙工場を建設した。海泰盛社は2憶6,000万元を投じ10万tの竹パルプ設備と7万5,000tの製紙ラインを導入している。

 

現在中国では竹パルプ製造企業は18社あり、年間240万㌧の竹パルプを製造している。そのうち12社が四川省にあり160万tを製造している。その他貴州に40万㌧、重慶に20万㌧、広東省に20万、江西省15万、広西省8万㌧となっている。

今後2023年までの3年間で120-140万㌧(四川省100、貴州36万)の増産計画が発表されている。 

四川省全体で119万ha(1万1988k㎡)の竹林があり、うち79万haが製紙用竹林となっている。理論上は250万㌧の竹パルプが製造可能だが、持続性を考慮すると50%の伐採率にしなければならない。四川省で進む竹パルプ増産計画により竹資源が不足する可能性も出てきている。

中国竹パルプ規格 T/SCSZX001-2019

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