■ 第三国で進む古紙のパルプ化と産業形態の変化
2018年6月20日
米国でテストライナーを生産し中国向けに輸出しようという動きが出てきている。米国内でのテストライナーの需要が伸び悩む中、下落した国内古紙を使用しテストライナーを抄紙、原紙価格が高止まりする中国へ出荷され始めている。日本の板紙も過去最高の輸出量を記録したが、東南アジア各国においても同様の様だ。
また東南アジアでは安価な雑誌古紙を購入し選別、紙力剤もサイズも打たず抄きっぱなしの中芯を製造し中国向けにリパルプ用として輸出するメーカーもあるようだ。米国雑誌古紙は2割以上古紙以外のものが混入するが、価格はCIF東南アジアで$50~70と安価で東南アジアの人件費も安価であることから人海殺法で分別することができる。
又、中国国内の古紙が50円/kg以上と高止まりする中、この抄きっぱなし中芯をリパルプ用に古紙の輸入ライセンスを待たない中小製紙メーカーへ$350-400前後で再生パルプとして販売する。乾燥設備を持たない再生パルプメーカー品よりも運送効率が良く、パルプ設備も強靭な板紙メーカーにとって製造コストも中芯よりも安価で、強度等の品質要求も細かくない。リパルプ用であるためトリミングの問題もない上に原料が安く、国内で原紙を販売するよりもはるかに競争のないこの特需は東南アジアの中小メーカーにとっておいしい商権のようだ。
中国の古紙輸入規制はこういった海外(中国外)での古紙パルプ化という産業の変化を促進させる可能性がでてきている。