■ 段原紙輸出がOCC輸出量を上回る 輸出原紙生産で国内出荷増加
2022年10月7日
輸出通関統計によると、今年3月以降段ボール原紙の輸出量が段ボール古紙(OCC)の輸出量を超える状況が続いている。3月の段原紙輸出量は10万9千㌧、OCCの輸出量は9.3万㌧だった。その後4月、6月、8月と段原紙の輸出量がOCCの輸出量を超えており、古紙輸出価格が大きく値下がりした8月のOCC輸出量は段原紙より1.6万㌧少ない7.4万㌧に留まった。国内では古紙輸出量が大きく減少したにも関わらず、古紙問屋の在庫タイト感が強い。輸出原紙生産の為の国内メーカーの古紙消費量が増えており、インフレによる消費減退も重なった事で輸出が停滞しても古紙が余剰しない状況となっている。1月~8月の段原紙輸出量の総量は71.4万㌧、OCC輸出量は75万㌧だった。このままのペースで行った場合、段原紙輸出量は昨年対比107%、OCC輸出量は73%となり、両者の輸出量はほぼ同量となる。
段原紙とOCCの輸出量は‘18年に55.8万tと199万㌧、20年に82.1万㌧と193万㌧だった。今年はどちらも100万㌧前後となる見込みだ。
国内の段原紙生産は近年の増産により70万㌧以上生産能力が増加し、生産過剰な状態にある。製紙メーカーは原紙輸出する事で需給を調整しており、今後も輸出を継続する方針だ。しかし、直近の中国・アジアの段原紙相場は大きく価格が崩れており、段原紙輸出の継続はメーカーの収益を圧迫する。強烈な円安と輸出古紙価格の軟化が、輸出の継続をつないでいるが、古紙価格の下落によってアジアメーカーも価格を軟化させる姿勢を見せており、これ以上の価格下落に日本のメーカーが輸出を継続できるかは未知数な状況だ。