イギリスのEU離脱により古紙物流に影響

  ■ イギリスのEU離脱により古紙物流に影響

2021年2月2日

英国のEU離脱は古紙を含む廃棄物の処理に大きな影響がでると懸念されている。

一つは入国審査が課される事により移民の入国が制限される事があげられる。中東などから流れてきた移民は南欧からより所得の高い北欧、英国に流れてくる。そういった移民が廃棄物の収集・選別などの仕事を請け負っている為、移民が減ることにより人材不足に陥る可能性もある。

また、EU共通の廃棄物処理法に準拠していた為、離脱によって運送会社は各国の許可を申請しなければならずコストアップにつながっているという。

ポンド安になるリスクも問題だ。国外に運び逆有償処理している廃棄物は、ポンド安になればさらなる負担増につながる可能性がある。

現在イギリス国内で回収される古紙の10%(50-75万t/年)がEUに輸出されている。ドーバー海峡の混乱に、ことも悪く海上コンテナも不足しており、東南アジアへの古紙輸出も容易ではない状況だ。

 新種肺炎も影響

さらに新種の新型肺炎が発見された事によって、物流業者はフランスへ入国する際にPCR検査をパスしなければならず物流に大きな影響がでている様だ。

ドーバー海峡の通関と検疫で48時間の待機が発生しており、食事やトイレもない場所にドライバーは待機することを強いられている。 地元ボランティア団体などが食事の体協などをしていると地元メディアは報じていた。 また年明け後は書類審査が厳しくなり、フランスへ入国する貨物書類の80-90%に間違いや不正確な書類がある事が発覚。大手物流会社は二国間の運送請負を一時停止するなどの問題に発展しているとう。

英国とEUとの貿易協定は12月に締結され、2000ページにも及ぶ規定に調印がなされた。一方そのうち89ページはまだ空白となっており、今後この膨大な量の取り決めに関する不備や問題が発覚する可能性は高い。

年末から買占めや移動を急ぐ動きがあり、通常時6000台程度の物量が、多い日は9000台を超える量となっており、混乱を助長した。一月末のドーバー国境には5000台以上のトラックが長蛇の列を作っているという。

 イギリスEU離脱の経緯

英国は1973年にEUに加盟したが、移民の問題や独自の金融政策や対外貿易交渉、各種規制などを設定できない事に対する国民の不満が高まっていた。16年の国民投票では離脱が優勢となり2020年1月に離脱を決定している。

2020年度内をEUから離脱の移行期間としていたが、EUとの関係、入国や貿易、工業規格や規制など未決定の部分が多かったが12月24日、ギリギリのタイミングで自由貿易協定が結ばれ「FTAなし」による経済混乱は避けられた。

しかし英国のEU離脱は同国のGDPに大きな影響を及ぼすという見解が強く、またEU外との貿易協定も一から構築しなければならない。さらにEU内には「漁業権」や「いいとこ取り」をする離脱に対し強い反発を抱く国も多く、今後そういった国々との軋轢やEU内での英国の存在感や影響力が弱まるのではないかと懸念されている。

 TPP参加を申請

2月1日早速英国はTPPへの参加を申請したが、中国へのけん制と「スコットランド」などEU離脱反対派に対する不満を抑える目的があるといわれている。またコロナ禍の影響も軽微で成長を続けるアジア市場との連携と、TPP参加国の中にはかつて英国の植民地だった国は多く、これまでの経済圏を通じてアジアとの自由貿易圏に参加したい思惑がある。

最新情報をチェックしよう!