■ ブラジル、91年ぶりの水不足で水上輸送に影響 運送コスト上昇 コーヒーなど農作物価格に影響
2021年6月7日
南半球にあるブラジルは11月から4月が雨季となり一年で一番雨が降る時期となる。しかし今年は降水量が極端に少なく、91年ぶりの水不足に見舞われている。この時期に乾燥した気候が続くことは珍しくはないものの、今年はこの状況が長く続くことが懸念されている。最も被害の大きかった地域では、降水量が通常の半分以下だった様だ。
熱帯雨林の多いブラジルでは鉄道や道路の整備は不十分で、物流には水上輸送が利用される事が多い。ブラジル南部のパラナ川流域では水不足によって水位が下がり船舶の喫水が制限されることで、水路輸送に影響が出始めているという。 陸路での輸送に切り替える業者もでているが、遠距離の迂回輸送を余儀なくされており軽油料金の値上がりも招いた事で輸送コストが高騰している。
水不足によって農作物の価格にも影響が出始めている。ブラジルはコーヒーやオレンジ、砂糖などの農作物輸出国で、いずれも世界1位の輸出量となっている。1月から4月はコーヒーの木が豆の成長のために水分を必要とする重要な時期である。水不足によって収穫量に影響が出ていることに加え、輸送費が高騰。さらに新型肺炎の流行によって、世界中であらゆる商品が不足状態になりインフレ傾向となっている。 またブラジルは電力の64%を水力発電に依存しており電力不足も懸念されており、様々なコスト増が価格を押し上げた。
ブラジルは世界有数の木材・パルプの輸出国でもある。パルプ価格は別要因(新型肺炎による海上運賃高騰や中国の古紙輸入禁止政策、世界的脱プラ需要等)によって価格が高騰しているが、同国の水不足が今後どう影響してくるか懸念される。