アジア段原紙価格軟化・中国大手製紙企業大型休転を複数回延期

  ■ アジア段原紙価格軟化・中国大手製紙企業大型休転を複数回延期

2022年9月28日

中国では依然都市部で厳しい「ゼロコロナ政策」を実施している事で景気が低迷。 16歳~24歳の若者の失業率は8月に18.7%に達し、主要38都市の平均賃金は今年第1四半期に1%減少した。 本来であれば「独身の日」を始めとする秋需に入るはずが、段原紙需要は冷え込んだままとなっている。 

玖龍紙業や山鷹紙業など大手製紙各社は7月に大型休転を発表。マシンによっては30日程度の休転を実施し、大幅な減産を行ったが、需給は調整されず8月も引き続き休転を行う事となった。さらに休転は複数回延期され玖龍紙業の東莞工場はマシンによって7月27日から9月26日まで休転を実施している。

需要悪化を受け、価格も軟化しており昨年末4700RMB付 近の高値を付けた中芯価格(普通芯100/110g)も現在は3400~3700RMB($480-530)付近まで軟化した。13%のVATを差し引くと420-440㌦前後となり、輸入紙への価格要求はCIF 400㌦を下回る価格帯となっている。

またお隣、台湾の段原紙需要も急激に悪化している。 中国向け段原紙価格の軟化は台湾製紙企業の収益を圧迫し、米国下院議員の訪台によって台中関係も悪化。青果物などの輸出に影響がでている。また世界中でインフレに伴い消費者が支出を絞った事でTVやPC、スマートフォンなど家電製品の売れ行きが低迷しDRAM市場は急激に縮小している。 2年ほど続いた記録的な半導体価格需要は、6月に前月比36%減、7月に同21%減と急減し、7月の市場規模は5月の約半分ほどに縮小したという。  

PC用DRAMの価格は第3四半期より10~15%程度下落し、サーバー用DRAM価格も13~18%下がる見込みだ。 比較的高止まりしていた台湾国内の段原紙価格は、国内需要の減退と安い輸入紙の流入によって軟化を始めている。中芯価格は8月の17.6NTD($530)から0.5ポイント下がって17.1NTD($510)へ軟化。 また一時見合わせていた中国向け段原紙輸出も再開したが、価格はFAS 360㌦と輸出価格は新型肺炎流行前の水準にまで下落している。 原燃料価格の高騰によって製紙のコスト圧力が高まる中で、原紙価格の下落はさらなる古紙購買価格の推し下げ圧力へと繋がっている。

 台湾に留まらず東南アジア全体の紙需要は悪く、原紙の国内、輸出価格は弱含んだままだ。アジア開発銀行はアジア太平洋地域の成長率を4.3%と0.9ポイント下方修正し、中国の景気減速や世界的なインフレによる影響はアジアの経済成長を鈍化させる見通しであることを発表した。

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