古紙、UKP価格上昇 コスト増から価格強含み値上げ 欧米でも需要好調

  ■ 古紙、UKP価格上昇 コスト増から価格強含み値上げ 欧米でも需要好調

2021年1月28日

 東南アジア

東南アジア域内での段ボール需要は国によってまちまちだが、インドネシア、マレー、フィリピンでは再度感染が拡大しており内需は弱い。 しかし輸出梱包などの需要は引き続き好調だという。 マレーは世界の医療用手袋70%を製造しており衣料用手袋などコロナによって拡大した輸出用品の包装需要が好調の様だ。 インドネシアは原紙輸出の内中国向けが70%以上を占める国だが、海上運賃と古紙コストの上昇から95g/平米の薄物中芯はCIF450-470㌦の価格帯まで上昇している。 古紙不足からローカル古紙価格は250-280㌦付近まで高騰しており、強気な価格転嫁をしている様だ。 

 インド

インドから原紙輸出は過去3年間大きく増加していないが、その構成比は中国よりに変化しており、輸出総量の50%以上が中国向けとなっている。 一方で東南アジアや中東向けの輸出は減少している。 

インドや東南アジアの経済発展に伴い、紙の消費量も増加しているが、南米や中東に於いても同様に紙の消費量が増加傾向にある。 特に欧州からの紙輸出は東南アジア向けよりも中東・アフリカ向けの方が多い。

 中東

カザフスタンでは生活用紙が急成長し、特にトイレットペーパーの売上が19年比で30%近く増加した。家庭紙産業全体では650億カザフスタンテンゲ(約1憶5400万ドル)に達した。

ウズベキスタンは紙製品の90%を輸入に頼っており、ウズベキスタン政府は今後数年間で国内製造を増強し発展させる方針を発表している。それに伴い国内では順調に増産体制が取られており、主要製紙企業はKagazy JSC、Kagazy Recycling LLP、Karina trading LLP、Almapack、Akzhol2008、BumpromLLPとなっている。

製紙原料は現地で大量に栽培される工業用麻を利用する。麻は乾燥した土地でも成長し少ない水でも栽培する事が可能で、現在サルドバ地区で3000haの麻農園を運営するMelabis社によって3300万ドルを投じ製紙用原料の開発プロジェクトが実施される事となった。

ウズベキスタンの麻畑

 北米

米国では20年上半期の再生ベースの紙生産量は5.1%増加、紙・板紙全体では1.4%減少した。全米段ボール協会の発表によると2020年10月の段ボール原紙生産量は前年度比3%の増加となった様だ。原紙の輸出量は-13.4%と大きく減少したが、通信販売などの国内需要がけん引し段ボール工場の稼働率は98.1%と高稼働状態となっており、段原紙在庫量は前年度比42,000t減少している。

 南米

一方ラテンアメリカカリブ経済委員会(ECLAC)の発表によると、南米では新型肺炎の流行により9.1%の経済収縮、270万社が倒産し失業率は13.5%に達し貧困層は37.7%になるとの予測が発表されている。しかし、南米の主な段原紙生産国であるブラジルでは通販など家庭での需要が増加し、段ボールは1.7%の成長となった。 原材料ベースでみると古紙ものは1%の減少、木材パルプやTMPベースのものは5.6%の増加となった。同国では2019年から2023年の間に100万t以上の段原紙増産が発表されており、メキシコに於いてもかなりの増産があるとの情報がある。

 欧州

欧州に於いても段原紙値上げが相次いでいる。 イタリアに3工場、フランスに2工場、ドイツで1工場、スペインに1つの製紙工場を持つイタリア国内2番目の大手一貫段原紙メーカーであるReno de Medic社は、欧州及び英国向けの販売に於いて1月25日から50ユーロ値上げを実施する。 またSCAもクラフトライナーを30ユーロ値上げする事を発表した。

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