大幅に減少した古紙輸出・インフラとしての必要性を問う

  ■ 大幅に減少した古紙輸出・インフラとしての必要性を問う

2019年3月30日

  1月の古紙輸出通関統計が公表されたが輸出総量は18万3,073㌧と20万㌧を割り込んだ。2018年1月は24.7万㌧、2017年は37万㌧だった。

古紙の輸出が20万㌧を割るのは10年ぶりでまさにリーマンショック直後の2008年11月以来となる。 1月末は旧正月の兼ね合いで船積みができなかった為、2月へ繰り越され輸出量が少なかった事も事実だが、1月の古紙出荷パニックが当方の思っていた以上に深刻だったことが数字として出てきた様に思う。 

品目別に見るとOCCが95,296㌧と前年度比(67.33%)、SMPが37,736㌧(62.4%)と大幅に減少、逆にONP21,702㌧(195%)、上物古紙9,198㌧(130.51%)と増加した。中国依存が高く輸出価格の下落率が大きかった段ボール古紙の輸出量が大幅に減少、ライセンスが多く発給され日本国内価格より若干高めの価格を維持した新聞も前年度比こそ増加しているが前月比で46%減少している。  

昨今古紙は高値が続き資源として認識されているが根本的部分はインフラとしての社会必要性があるものだという事が忘れられ、投機的なブローカーも数多く出てきた。 

日本の古紙は国内消費量より発生が多く、毎年2割ほど輸出しなければたちまち溢れかえってしまうが、2月の段ボール輸出組合入札価格は店頭12円台と古紙問屋の採算分岐を割っており長期的に価格が低迷し輸出が滞ればインフラとしての古紙回収機能が損なわれる可能性がある。 

日系製紙メーカーの中では輸出古紙価格の低迷に伴い古紙仕入れ価格を低く抑えるべきだという意見もあるが、企業として社会インフラの維持継続の為最低限基準価格は崩さない様にしたいとの意見もある様だ。  

3月は年度末につき古紙発生期ではあるが輸出古紙価格が大幅に回復する兆しは今のところない。  

今年のGW長期休暇による板紙国内需要を見込んだ製紙のフル操業が4月初旬ごろまで予想されるが、GW中は税関や港湾も休暇となる為4月最終週以降の輸出向けは一時的に出荷が鈍くなると思われる。

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