■ アジア古紙市況 インド・マレーシアは歴史的高値に タイ・ベトナム・台湾は価格膠着
2022年3月15日
アジアの古紙相場はその地域によって大きく異なる状況となっている。インドでは古紙価格が歴史的高値を記録、AOCC#12(Premium DSOCC)には$385㌦を超える価格がつきUKOCC95/5も340㌦レンジでの取引となっている。背景にはインドにおける新型肺炎感染者数が激減し経済活動が再開している事に加え、EUからインド向けに古紙輸出ができない事で古紙供給が限られている事が原因となっている。また長期間の都市封鎖により古紙の発生も少ない状態だ。
EUからインド向けの古紙輸出は昨年10月に行われたOECD非加盟国に対する廃棄物輸出に関わる法令改訂の際の事務的ミスによって輸出が止まっており、現在はEUを離脱した英国からのみの輸入となっている。
昨年の1~10月までのインド古紙輸入量は約630万㌧で内260万㌧(41%)が米国、86万㌧(14%)が英国からの輸入となっており、欧州からの輸入は約100万㌧と16%程度を占めていた。 インド製紙企業が東南アジアよりも圧倒的に高い価格をつけている事で、米国サプライヤーはインド向け販売にシフトしつつある様だ。
一方、マレーシアでは今年から古紙の船積み前検査が実施されているが、コロナ過の中検査の実施が上手くいっておらず、マレーシア側に於いても手続きに混乱が生じている。マレーシア政府は検査の実施を一旦停止し7月まで延期する事を決定した様だ。近く詳細が関係省庁から発表される。 これを受けマレーシアの製紙企業は7月迄の船積みを条件に古紙の買い付け量を増やしている。
また米国古紙がインド向けで異常な高値を付けている事から一部日本や欧州の古紙へ買い付けをシフトせざるを得ず、スポットではあるがJOCCに350㌦付近の価格を付けたメーカーもある様だ。 しかし日本からマレーシア向けの海上運賃はベトナムや台湾向けと比べ㌧当たり$30-50㌦程度高く、問屋の手取りに大きな差異が無いためインパクトはない。
今のところ玖龍社を除きベトナム、台湾のバイヤーは高すぎる古紙価格に積極的についてくる様子はない。中国向けの段原紙販売が振るわない上に、原燃料価格も上昇しておりコスト高で採算が合わなくなってきている事が理由となっている。現在の相場はJOCC CIF VIETNAM $290-295、CIF TAIWAN $255-260と価格が1~2週間程度価格が膠着している。