■ 東南アジア原紙市況:中国向け原紙価格上昇も現地販売価格は回復せず
2020年7月
中国市場の上振れを受けて5月以降下落を続けていたアジアの古紙市況に於いても、底を打った雰囲気が出始めている。
6月には古紙価格の急落に合わせ原紙価格も下落し、一時最安値で240ドル付近の中芯も散見された。しかし6月中旬以降中国からの原紙引き合いも戻ってきており、正隆社にも大型の中芯発注が入ったとの事だ。
国内向けの原紙価格は10㌦前後の値動きに据え置いているが、中国向け輸出価格は30~40㌦程度値上げを実施している。 一方でアジア域内の景気状況は引き続き悪く、収束しない新型肺炎に輸出に依存する東南アジアの景気は悪化している。
中国での価格上昇の影響もあり若干価格が持ち直しているものの、中芯も290~300ドル付近までの回復に留まっており需要も弱い。中国向け再生パルプの製造も現在のAOCC価格ではコストが合わず減産に踏み切っているメーカーも少なくない。
強含みする中国向け古紙価格に比べ原紙価格が値上げできていない上にライセンスの期限も存在しない為、中国ほど強気な古紙調達価格の値上げは行なっていない。サプライサイドからの値上げ要求による値上がりはあるものの、中国よりは鈍い値動きとなっている。