■ 相次ぐ東南アジア諸国での再生資源に対する輸入規制
2018年8月28日
中国政府が今年度初旬から固形廃棄物の輸入を禁止して以来、東南アジア諸国への廃棄物の輸入が大幅に増加している。7月25日ベトナム政府は港の混雑及び環境への懸念が高まっているとして、廃棄物の輸入に対し新規のライセンスの発行を停止し、違法貨物の輸入を防止する対策を発表した。
又ベトナム税関からの指示を受け船会社も今後ベトナム向けに固形廃棄物を輸出する場合、マニフェスト(積荷目録)への「荷受人の情報(会社名、会社住所、納税コード等)」「固形廃棄物輸入許可証番号」「HSCODE」等の記載を義務化している。
廃棄物の輸入量の急増はベトナムのいくつかの港で渋滞を引き起こし、現在6,000コンテナが港で滞留している。ベトナム政府は今回の対策の発表に際しベトナムの製紙、製鐵産業にとって再生資源の輸入は重要な原料調達手段であり、その需要は国内に強く存在するがあくまで加工業者のみの利益となっており環境に寄与するものではないと付け加えた。
今後政府主導により港湾に滞留したコンテナの所有者を追跡し、違法輸入や環境法違反の犯罪捜査を開始すると述べた。
近年ベトナムでは鉄鋼会社の排水による海洋汚染や森林破壊に対する抗議デモが多発し、環境汚染はベトナム政府にとって政治的リスクだと認知され始めている。事実2016年に台湾のフォルモサプラスチックス(Formosa Plastics Corp)が開発した製鉄所が沿岸水域を汚染しベトナム全土に渡り批判の声が高まり、営業許可の取り消しが行われたことが記憶に新しい。
また7月24日マレーシア政府は工業地域での深刻な環境汚染が発生しているとの報道を受け、プラスチック廃棄物を処理する114工場の輸入許可を取り消した。マレーシアの住宅自治省のズイラダ・カマルディン大臣は、今回規制を受けた企業が国際的な環境基準を満たすまでに最低3ヶ月以上かかるであろうと発表している。