■ 中国での段原紙増産と古紙代替
2020年9月
来年度の古紙輸入禁止に備え、中華系製紙企業は再生パルプ工場の建設を強化している。特に山鷹国際は再生パルプ工場の増設に積極的で‘18年に米国ケンタッキー州にあるPhoenix paper のBHK及び上質紙工場を取得し、一部を再生パルプマシンへ改造することを発表した。
山鷹国際はタイの大手製紙Double A社と年間30万tの再生パルプ製造委託契約を結び、AOCCを主原料に今年上半期より製造・出荷を開始した。
さらに自身の100%タイ子会社であるGolden Dragon社に於いても年間40万㌧の再生パルプを製造する予定としている。これらの増産計画が全て稼働すれば、同社の再生パルプ製造能力は今年末までに70万㌧/年ほどの規模となる。
また中国国内での段原紙増産計画も進行中だ。
河北省工場23号機が9月初旬、テスト抄紙を開始した。マシン幅8.6m、抄紙スピード1400mで古紙ベースの50-110g/㎡強化芯を製造する。
吉林省風湯市に200万t規模の工場建設を計画している。100万tの段原紙に40万tのSCP、60万tの晒パルプを製造する。建設は5年計画で第1工期にて30万tの中芯と10万tのSCP、30万tの晒しパルプマシンが稼働を開始する。中芯は同工場で製造したSCPと地元回収古紙を混ぜて製造する。
第2工期は40万tのテストライナー、15万tのSCP、30万tの晒しクラフトマシンが稼働を開始し、第3工期は30万tの中芯、15万tのSCPとなっている。SCPは農業廃棄物であるコーンの茎を原料に製造され、古紙に代わる原料として開発を進めている。
段ボール原紙のさらなる増産を計画し、原料調達の解決方法を模索する山鷹と対照的に、理文紙業は重慶工場の年産30万tの段ボール原紙製造ライン増設を断念し、家庭紙マシンの増設へと計画を切り替える。生産能力は変わらず6万㌧のハンドタオル、6万㌧のキッチンタオル、18万㌧のトイレットを製造する。21年以降の古紙輸入禁止を睨み家庭紙への方向転換を進めている。