■ 米中貿易交渉、第一段階の合意
2020年1月20日
米国と中国の貿易交渉は第1段階の合意に達し、米国は1月15日に予定していた中国製のスマートフォンやノートパソコンなどを対象に15%の関税を上乗せする「第4弾」の1,600億ドル分(17兆円)の発動を見送り、すでに適用済み追加関税の税率も一部引き下げた。
第4弾の報復関税が課税された場合、米国品の古紙は25%から30%、中芯原紙も25%から35%に増税され紙業界にも直接的な影響が懸念されていた。 今回の合意にあたり米国政府は第1~第3弾で課税適用済みの家具・家電など25%の税率は維持するものの、昨年9月に発動したスマートウオッチなど1,200億ドル分の関税率は15%から7.5%に減税する。
<米中貿易戦争 関税増税の経緯>参照) 対する中国は米農産物の輸入拡大のほか2年で対米輸入を22兆円増加させ、金融市場の開放や知的財産権保護、為替政策の透明化も打ち出した。
中国国務院の発表によると第1段階の合意は米国産の農畜産物の輸入拡大、知的財産権保護、技術移転、金融サービス、為替、紛争解決方法の決定など9項目に及ぶ。 米国追加関税の見送りに対し中国政府は12月15日より発動予定だった木材や織物など3361品目を対象に5%から10%の追加報復関税措置を取りやめ、自動車や自動車部品を対象とした関税増税も見合わせる。
9月1日に発動した最大10%の追加関税については維持する。 しかし米国は中国が強く求めていた全ての関税撤廃には応じなかった。
米国側の要求している産業補助金を撤廃する要望など第2段階以降の協議と合わせて先送りする方針で、この補助金政策は中国の≪国家資本主義≫の根幹をなす部分であることや、米国は秋に大統領選挙を控え安易な妥協案に応じる可能性が低いことから、「完全なる合意」への障壁は大きく交渉が長期化する可能性は依然として高い。