■ 旧正月明け古紙価格強含み 中国向け原紙価格が上蓋
2022年1月13日
旧正月明け船着分の古紙価格交渉が始まったが、それぞれの国の事情により価格差がでている。 マレーシア、インドは欧米古紙を中心に購入を再開しており、価格が強含んでいる。一方ベトナムは若干の上昇、台湾・韓国は横ばいで購買意欲はそこまで強くない。
現在の古紙価格はJOCC CIF TAIWAN $245~250 VIETNAM $270-275 INDNESIA $260-270で、ベトナム向けは年末につけた250㌦前後の底値から20㌦程反発した。 ベトナムの購入価格が上昇した理由は、輸入ライセンスの更新ができたこと、この数か月古紙の購買を控えており、年末につけていた250㌦位では殆ど成約できていなかったため古紙在庫が薄い事が背景となっている。
マレーシアでは古紙の輸入規制のレギュレーションがどうなるか明確に決まった為、(1月10日法施行、1月末以降船積み分に適用)中華系製紙企業が一斉に古紙を買いだした事で欧米古紙が値上がりした。 マレーシア向けは2月から船積み前検査が必要となりコストアップとなる事や、新レギュレーションの検査基準がどの程度になるか不透明感があるため、その前の船積みをターゲットに買いが集中した。 特にマレーの中華系製紙企業はAOCCを中心に買う傾向があるが、シンガポール以南へのトランシップ(船積替え)費用が高く、北米のサプライヤーは販売価格を押し上げるよう交渉している。
インドはEUのレギュレーション問題から欧州古紙の調達が年末から上手くいっておらず、UKOCC及びAOCCを主軸に購入量を増やしている。 インド、マレーが購入を始めた事はインドネシアのバイヤーにも波及、 特に品質に良いDSOCC#12のインドネシア向け価格は 300㌦を超える水準にまで上昇している。
現在の欧米古紙相場はEOCC 90/10 CIF ASIA $240-275、 AOCC#11 CIF INDIA 290-305 CIF MALAYSIA $280-290 CIF TAIWAN 245-260 となっている。
台湾向け及び韓国向けAOCCが安い理由は、マレーやインドネシア向けはコンテナも取りづらくさらに台湾向けよりトン当たり25㌦以上海上運賃が高い事が要因としてあるようだ。米国サプライヤーは大量に購入する東南アジアより少量でコストの安い韓国・台湾と成約する傾向にあるという。
台湾の製紙企業は中国からの段原紙引き合いが弱く、輸出量が減った為旧正月を前に停機減産による生産調整を行っている。 高い海上運賃を添加できない中国向けに輸出するより、通販など内需が好調な国内への販売に重点を置いた方がいいという判断からだ。 国内原紙価格は原燃料問題から昨年秋に値上げして以来軟化していないが、生産量の3割前後を占める輸出向けが停滞した事で古紙の購買を控えるなどの動きを見せている。
中国向け原紙輸出の失速感はマレーシアにも影響を及ぼしている。今まで中国向け輸出一本だった中華系大手製紙企業のマレーシア工場が地元コンバーターへの販売を始めた。 東南アジア全体にその影響は波及しつつあり、長期化すれば原紙の余剰感を生む要因となるかもしれない。
台湾では中国向け原紙販売の減少と価格の軟化は古紙購入価格の上蓋要因になっており、AOCCも安く買える背景から、積極的に日本古紙を購入する様子はまだない。
中国向け原紙輸出の失速感はマレーシアにも影響を及ぼしている。今まで中国向け輸出一本だった中華系大手製紙企業のマレーシア工場が地元コンバーターへの販売を始めた。 東南アジア全体にその影響は波及しつつあり、長期化すれば原紙の余剰感を生む要因となるかもしれない。