■ 米対中国向け追加関税制裁発動、加熱する貿易戦争と低迷する東南アジア紙市況
2019年5月30日
トランプ政権は5月10日、対中輸入額2,000億ドル相当の追加5,745品目(中国原産の輸入品に関するリスト3)の関税率を、10%から25%に引き上げる発表をした。
関税が引き上げられる品目の中には48類の紙製品も含まれる。 今回追加関税措置の対象になった品目の中には中国以外の供給に切り替えられないノートパソコンやゲーム機等が含まれ、米政府はこれを承知で増税に踏み切った。
仮に中国が交渉に応じずこの税率が恒常化した場合、中国から製造業が海外へ移転し「世界の工場」である中国の地位が揺らぐ。そうなった場合、包装資材産業も移転を余技なくされ紙パルプ製造拠点の第三国への移動が加速していく要因になるのではないだろうか。
1月~3月、旧正月中の不需要期に伴うSD等もあり東南アジアの原紙価格は古紙マーケットほど崩れてはいなかった。 しかし4月以降本格稼働したアジア製紙メーカーにとって米中貿易戦争が過熱し、中国を含むアジア全体の原紙需要が大きく落ち込んだことは製品販売の足枷となった。
古紙価格が大きく下落し安価な原材料が潤沢に仕入れられる様になった事は、安易に原紙価格を下げる原因ともなっている。 東南アジアプライスリーダーであるタイのサイアムクラフト社の中芯90g(薄物)販売価格は昨年年末時点でCIF $430-450㌦前後であったが、現在は$370㌦付近まで下落している。
当社ベトナム工場も4月以降稼働開始し原紙の販売を開始したが、販売状況は芳しくなく早くも値下げをしなければ売れない状況だ。