■ 中華系メーカー海外のパルプ拠点を買収・増設
2018年10月28日
古紙の輸入禁止に伴い古紙の調達が困難なることから、中華系各製紙メーカーはそれぞれ違った打開策を打ち出している。
玖龍社は米国にある15.5万tのBHKP生産能力を有する工場を買収、完全子会社化2,500万ドルを投資し年産27.5万tのUKPのラインに改造する計画を発表した。 同社は5月末に年産72万tの米国カタリスト社、8月末にフェアモント社を買収しており、今年4社目のパルプ製造メーカーの買収となる。 同社グループ既存の再生パルプ21.8万t、上記UKPラインへの改造による27.5万t、さらに再生パルプ製造ラインを3ライン新設し100万tを増産する。
玖龍社に続き中国第二位の生産量をもつ理文社はマレーシア・スバンジャヤに年産70万トンの包装紙、50万tのパルプ製造ラインを建設する。 これはベトナムに続き理文社にとって二番目の海外製造拠点となるが同社は今後さらなる海外製造拠点の拡大と多様化計画を発表した。同社のCEOは中国国内の紙パルプ需要は2010年には9,700万tであったが、2035年には3億3,300万トンにまで成長すると予測し、マレーシアでの製造拠点の拡大と中国向け輸出は今後大きな競争力をもつとコメントしている。
またサンペーパー社はラオスより再生パルプシートを輸入し、中国国内でもSCP(セミケミカルパルプ)製造工場を2か所立ち上げた。 さらに革新的なのは世紀陽光社が中国林業科学研究所と共同で開発した、世界初のバイオ機械パルプを製造する設備を建設開始したことだ。
年産40万t規模の製紙ラインを中古で2機購入し生物機械パルプマシンに改造し、自社で使用する20万tに及ぶ輸入古紙の代替えとする。原料は小麦や家畜用飼料を使用し製造され、完成した再生パルプは乾燥せずそのまま板紙の製造ラインへパイプラインにて供給される。
山東省地方政府もこのバイオマステクノロジーの製紙原料への応用技術開発に際し世紀陽光社に対し技術の開発費用3億元のうち1000万元を補助金として支給している。プロジェクトクトにより古紙の調達費用を圧縮することができ、かつ品質面でも安定させることができさらなる競争力につながると期待されている。