■ マーケットハイライト:米中貿易戦争発端、米国古紙に25%の関税
2018年8月24日
9月出しの関東組合の落札結果はOCC$290を付け古紙輸出規制前の高水準まで上昇している。 しかし中部組合は不成立に終わり、正直$290という価格には少々違和感を感じずにはいられない。古紙価格が強含んでいることは事実だが、急高騰したこの価格は景気の弱含みもあり不安定な状況だ。
先日米国政府は中国に対し500憶ドル(5兆5,400憶円)相当、1,300品目に高関税を課すことを発表し、さらには第三弾として2,000憶ドル(22兆円)分の輸入貨物に対し追加課税することを検討している。これに対し中国側も対抗措置として160憶ドル(1兆7,700憶円)もの貨物に対し報復関税を課し、古紙もその対象となっていることが価格の上昇の原因となっている。 23日より実施されたこの報復関税により米国の古紙にも25%の関税が課せられ、先般より問題となっている品質問題や米国CCICの検査待ち問題もあり中国の需要家にとって米国の古紙が非常に調達しづらい状況になってきた。
直近の日本古紙価格は上記の理由から高騰、6月の輸出量も昨年度を上回る結果となった。 しかし6月末に中国国務院により発表された古紙を含む再生資源の輸入を2020年にゼロにする計画も発表され、2019年の輸入ライセンスはさらに制限されたものになると予想される。
さらにはトランプ政権発端の世界を巻き込んだ貿易戦争、関税の報復合戦は急激に世界の貿易を萎縮させる可能性が出てきている。中国国内での原紙の需要も冷え込んできており、いつまでもこの高値が続くとはいえない状況で、トランプ政権が強気の姿勢を変えなければ需要期が終わる年末には再度古紙価格の大幅な下落もありうるのではないだろうか。