2023.3 古紙アジア市況

  ■ 2023.3 古紙アジア市況

昨年末に中国政府が紙製品に係る関税の減税措置を発表した事によって、中国の段原紙輸入需要が回復するとの期待感から、年明け早々古紙輸出価格は反転上昇を始めた。しかし旧正月前の原紙引き合いはブローカーや輸入業者による仮需で、実際の段原紙需要は旧正月明けも回復しなかった。 東南アジアメーカーへの中国からの3月生産分の段原紙発注は予想に反し少なく、中国大手製紙も相次いで大型休転を発表している。 

特に山鷹国際は湖北及び広東工場に於いて、2機の段原紙マシンを18~20日の休転、玖龍紙業は東莞工場に於いてライナーマシン5機、段原紙マシン5機、白カードマシン1基をそれぞれ2月19日~3月10まで、3日~16日間の休転を実施する事を発表。その他各社も需要の弱さと輸入紙に対抗し原紙価格を値下げするなどの対応策を講じた。それを受け古紙価格は反転軟化に転じ、2月中旬のJOCC価格はベトナム向けで155㌦を下回る価格にまで下落した。 

その後若干の揺り戻しがあり、現在のアジア古紙相場はJOCC CIF VIETAM $160~165、CIF TIAWAN $150~155 (CY18.5~19.5 /kg)となっている。それでも今月中旬の高値からは10~15㌦ほど反落した状態だ。

 一部の米国古紙サプライヤーの情報によると、インドが1月に70万㌧を超える古紙を購入した反動で、急に古紙の買い付け量を調整してきたとの情報もある。インドは年間600~700万㌧の古紙を輸入する為、通常より1割以上多く購入した事となる。 アジアメーカーが年末の大雪や大雨によって水分を多く含んだ米国古紙を敬遠する中で、インドは中国向け段原紙需要回復の期待感に古紙を大量に買い付けた様だ。 

またAMIXの殆どはインド向けであった事に加え、インドネシア大手製紙企業が雑誌古紙の購入量を大きく調整するなど、MIX古紙の需給が緩み価格が軟化した事もOCCに影響を及ぼした。 AOCCの需給が緩んだ事で、親会社である正隆に古紙商社から一度に6,000tを超えるオファーもあった。 韓国向け新聞古紙の引き合いも弱く、同様に新聞メーカーに売っていた雑誌も売りづらくなっている。 3月は新聞・雑誌古紙価格は大きく軟化、段ボール価格も不安定な状況がとなる事が予想される。

 一方で、中国国家統計局が31日に発表した1月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.1と、景況改善・悪化の分岐点となる50の水準を昨年9月以降半年ぶりに上回った。さらに、製造業のサプライヤー納期指数は47.6と、12月の40.1から持ち直し、都市封鎖に伴って発生していた物流や輸送の遅れは是正された様だ。 また4年振りの移動制限のない春節を迎え、旅客数はコロナ前の2019年の実績の9割まで戻り、サービス業の活動を測るサブ指数も54と前月の39.4から急回復している。しかし、1月の消費者物価指数(CPI)は2.1%上昇し、新規輸出受注指数も46.1にとどまった事は経済回復の足枷となり大きな懸念材料だ。 

昨年年末に米小売業界が需要を見誤った事で、過剰な輸入品の在庫を抱え、中国への発注を大量にキャンセルした事は海上運賃の下落を招いた上に、中国の輸出産業にも影響を与えた。 現在の中国包装需要は、国内の個人消費と欧米への輸出産業の回復が重要な要素になると考えられる。

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