22年12月 アジア古紙市況 各国製紙減産古紙相場再度下落

  ■ 22年12月 アジア古紙市況 各国製紙減産古紙相場再度下落

 11月から反転上昇していたOCC輸出相場が再び大きく崩れた。 急激な円高も相まって、円貨ベースでは3~4円ほど崩れる見通しだ。 欧米製紙各社が12月も引き続き大型休転を発表した事で、古紙問屋にクリスマス休暇前までに在庫を輸出しようという危機感が働いた。 加えて欧米古紙の12月積みは旧正月明けの不需要期到着となる事から、大きな量を成約する事は難しく値を崩す結果となった。 また日本の製紙会社が、中国の需要減や円高によって段原紙輸出価格が合わなくなり減産を実施した事で、急に古紙が余剰し輸出オファーが増えた事もOCC価格の下落に影響した。 急なオファー量の増加と価格の軟化に異変を感じたアジアメーカーは、購買に難色を示すようになり、安値を下回るカウンターが相次いだが、契約を決めたいサプライヤーもその価格を容認せざるを得ない状況だ。 

 
 現在の欧米古紙相場はEOCC 95/5 $130-135、AOCC #11 $140-170と1カ月で30~40㌦下落。 日本のOCC輸出価格も CIF VIETNAM $145-150 (CY 16.2~17.0)、CIF TAIWAN $137-140(CY 16.5~17.3)と20㌦前後軟化、円高によってドル価以上に円価格が崩れた形だ。 これまで、ハイパー円安が円価ベースの輸出価格を下支えし、アジア相場の下落が薄まっていた。 しかし一時150円をつけたドル/円為替相場も現在は132㌦まで円高が進み、古紙相場を㌔あたり1.5~2円程押し下げた事で、古紙問屋店頭価格は国内建値を数円割りこむ水準にまで下落している。 

 中国ではナインドラゴン玖龍社を始め山鷹国際、金田紙業等大手製紙が大幅減産を実施する予定としており、11月末から2月初旬までの2か月半で3社合計136万㌧の段原紙及び白板の生産を削減する事を発表した。12月中旬には一部の製紙企業によって50 RMB程の値上げが発表されたが、多くの企業が追随せず、逆に前後して値下げをアナウンスするメーカーもあった事から、下げ止めのけん制程度と市場には受け止められた様だ。 引き続き中国国内の需要は弱く、在庫も多い事から価格は軟調に推移するものと思われる。 中国国内の現在の段原紙価格は中芯110gで3,300~3,500RMB($475~500)、テストライナー(破裂2.2~2.5)で3,600~3,800RMB ($520-540 *いずれも需要家到着VAT13% 込み価格)となっており、VATを差し引くと中芯価格で420~440㌦、ライナーで460~470㌦となる。ここから通関やインランドコスト、関税や商社マージンなどを差し引くと、輸入紙に要求される価格は中芯330~350㌦、テストライナー360~390㌦前後となるが、需要の悪さを背景に実態価格はこの価格を下回る状況となっている。 高い原燃料価格に不採算から減産する東南アジアメーカーも多い様だ。

 一方、中国政府はゼロコロナに対するデモと国民不満を鎮静化するため、方針を転換し規制を緩和した。 当初中国が経済始動する事で、台湾を含めアジアメーカーの間に原紙需要も回復するのではとの期待も広がったが、感染拡大が広がり直ぐに状況改善は見込めない状況となった。 国民のワクチン接種から時間が経過しており、無理やり感染を押さえてきたことで免疫を持つ人が少なく、準備不足と急激な方向転換に混乱と感染爆発が発生した。 薬局には解熱剤を購入しようと人々が長蛇の列を作り、在庫があるにかかわらず解熱剤を売ってくれない店もあるという。 中国は一人当たりの病床数も少なく、病院では感染した医者が点滴を打ちながら診察をするなど、医療崩壊も近い。 しかし地方政府はPCR検査場を撤廃、無症状や軽症の場合は通常通り出勤可能とし、社会と経済を回す為人手を総動員する方針だ。 これから春節に入り、帰郷や旅行で人々の外出が増えるとさらに感染が拡大する可能性が高く、100万人近い死者がでるとの予想もある。 英国調査機関の調査によると、ある葬儀場で1日に数百人の葬儀が行われているとの情報もあり、12月22日の死亡者数が5000人に達した可能性があるという推計を発表した。 しかし中国政府は関連死亡の定義を変更し公表死亡者数を7人としている事から、実際の死者数は不明となっている。

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