■ 22年 欧州紙パルプ産業概略 紙パルプ生産量5.9%減少
2023年2月25日
CEPI(European association representing the paper industry)の統計によると、2022年の欧州紙・板紙生産量は昨年対比5.9%減少した事がわかった。 22年の総生産量は8,480万㌧で、家庭紙、衛生用品を除いた全ての紙製品に於いて生産量の減少がみられた。 特に印刷用紙部門は6.4%の減少と最も大きく、アジア各国のロックダウンも重なり、輸出量は10%減少した。 包装・パッケージ用紙の生産量は4.6%減少し、その内運送用途段ボール生産量は4.8%減少となり、小売り用途の生産量は4.1%の減少となった。製袋用クラフト紙の生産量は5.2%の減少だった。 生産量の減少は特に独立専抄メーカーへの影響が大きく、その要因は22年下半期のEUのGDP成長率は0.3%と停滞したことや、原燃料価格の高騰が影響した。紙・板紙生産量の減少は欧州だけに留まらず、世界各国の紙パルプ生産国に於いても、顕著な生産量の減少が見受けられた。特にカナダ、日本、米国、韓国では0.5~3.5%程昨対比減少しており、その最も大きい要因はエネルギーコストの増加で、多くの工場が一時的に操業を停止しなければならない状況となった。
一方で欧州の景気減退や生産量の減少に関わらず、22年の紙・板紙の消費量は前年度比大きく変わらず比較的安定的に推移した。在宅勤務など生活様式の変化によって家庭紙や衛生品の消費量は昨対比3.6%増加した一方で、印刷用紙の消費量は1.8%減少した。包装紙は通信販売の増加により、1.8%の成長となった。それに伴い、紙リサイクル率は96%と大きく増加している。 今後、23年の欧州GDPは0.8%の成長となり、24年は1.6%増加すると予測されており、経済回復にも期待が寄せられている。
新型肺炎の流行やウクライナ戦争により、人々の生活用紙や産業形体は変化している。 22年の紙・板紙生産量に占める段ボール・包装紙の割合は59.8%と21年の59.1%からわずかに増加した。グラフィック用紙の生産量は11.3%減少し、生産割合も26.1%と前年の27.7%から減少。工業用紙及び特殊紙の生産量は昨年比6.1%減少、全体に占める割合は4.8%となった。家庭紙及び衛生用品は2.2%増加し、市場割合は9.3%となった。 新聞用紙の生産量は9.9%、印刷用紙は11.5%減少した。紙種別では塗工紙及び非塗工紙はそれぞれ19.5%、13.2%の減少となった。上質紙全体では8.0%、その内PPCは5.8%、上質コートは12%、中質紙は16.3%の減少だった。