■ 2020年 富陽地区中小製紙メーカー立退き
2019年11月
古紙業界では有名な中国富陽地区は浙江省杭州に位置し上海から新幹線で2時間程の場所だ。 朝早くから地元の古紙問屋が古紙をトラック一杯に積み製紙メーカーに並んでいる姿をご覧になった方は多いのではないだろうか。
富陽地区工業団地は2004年に設立され、中小製紙企業の白板生産基地として発展したが、2017年富陽地区行政による「新都市計画と解体企業補償計画」によって2019年末までに操業を停止し立ち退きする事が計画されていた。
これまで70社の製紙企業を含む620社が立ち退きを指示され、対象となった製紙企業は富陽地区の65%に相当し生産規模は492.5万tにも及んでいる。 10月末、残る29の製紙企業に対し杭州富春湾新都市管理委員会から解体作業の詳細、補償内容の説明が行われた。
11月30日までに立ち退き企業は同意書に署名する様に協議が進められており、対象となる残存製紙企業の昨年の生産量は214.94万t程だ。
今後5年以内に対象企業はすべて解体される事となっており、企業の土地、廃棄物処理権建物、設備は「事業停止損失基準」に基づき査定し補償され、従業員の退職金も自治体から補填されるとの事だ。
中国環境規制の流れを受け、基準を満たせない中小企業は営業許可を取り消され淘汰される。年末年始の輸出古紙相場はさらに厳しい状況となることが予想されるが、富陽地区の閉鎖により年明け後の中国国内古紙相場の変動が気になる所だ。 古紙輸入ライセンスも大手中心の発行となっており今後も政府主導による製紙の淘汰が進むだろう。